実験装置の話

昨日今日は、連休中ほったらかしにされて液体ヘリウムと液体窒素が枯れかけになっていたというhelioxという装置に液体の補充をしていました。

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heliox

これが、ヘリオックスという装置で、物の”温まりやすさ”を測るために使っている装置です。

物の温まりやすさというのは、その物の性質を示す重要な要素の一つだったりします。

例えば、鉄は火の前にかざすと、すぐ熱くなりますが、一方で水はコップ一杯分を温めるのにも時間がかかります。

もし黒い箱の中に何か物が密封されていたとしたら、見たり触ったりしても中がなんなのか知ることは出来ませんが、その箱を温めてみて、すぐ温まれば、中身は鉄などの金属っぽい物かなと想像することが出来ます。

既知の物の温まりやすさのデータはまとめられているので、未知の物を測って、既知のどの物質に近いのか知ることが出来ます。

実際にこの装置で測っているのは、原子番号の大きいウランなどが入った化合物です。

あと、物の温まりやすさというのは、物のそのときの温度によっても変わります。

これ以上は理論的に冷えないという絶対零度( 0K = -273度C )から、10度上( 10K = -263度C )くらいまでの温度領域が、その物の特徴が温まりやすさに顕著に表れることが多いので、この装置ではそのような低い温度で測定が出来るようになっています。

下は300mKまで冷やせるそうです。

画像の下の方に写っている、まるっこいボディの中は魔法瓶が二重になった構造になっていて、外側に液体窒素(74K = -199度)が入っていて、内側には液体ヘリウム( 4K = -269度 )が入れてあって、中心部は常時液体ヘリウムくらいの温度が保たれています。

そして、さらに外側にぷちぷちーを巻いて温度上昇を防いでいます(笑。

高さは背丈ほどです。

そんな代物です。

それで、時間が経つと冷却に使っている液体が気化して無くなっていくので、週に1・2回補充をします。4年生がお手伝いさせられるさせていただいてるのが、その補充の作業です。

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液体ヘリウムの入ったベッセル(タンク)

整理整頓という紙が貼ってありますが、それは置いとくとして。

タンクも魔法瓶構造になっていて、中が温まりにくくなっています。

某核燃料処理施設みたいに、金属バケツを使って、液体をどばーっと補充できればすぐ終わるのですが、それをやると部屋中ヘリウムだらけになってすぐ死ねるらしいので、細い金属チューブを上の画像のタンクに差して、ゆっくり取り出して入れます。

故にどう早くやっても、一時間くらいかかります。

因みにこのタンクは、おフランス製だそうです。

タンクの上に付いているバルブ類が特殊で、フランスから輸入しているとかいう話。

黒色のバルーンを押すと、タンクの内圧が上がって、上に刺さっている金属棒からヘリウムが出て行きます。

赤いレバーは3倍速く操作できるとか出来ないとか。

ヤッターマン世代の私にはあいにく理解できませんが。

ぷちぷちーで思い出しましたが、科学は生活用品で支えられていることが多々あります。

カミオカンデの跡地にできた京都大学のニュートリノ観測装置は、内壁を洗うのに最適なものを探した結果、食器用洗剤とスポンジだったそうで、それを使って巨大な装置をごしごし洗いまくったそうです。

“一滴でこれだけ洗えちゃう”、って言うしさすがですね。

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