LGのディスプレイ「27UQ850-W」と「27UP850N-W」はよく似ていますが、何が異なるのでしょうか。違いは7つあります。わかりやすく紹介します。
目次
7つの違い
27UQ850-Wと27UP850N-W(あるいは27UP850-W)は、どちらも、サイズは27インチで、DCI-P3の色域に対応した4K解像度のモニタです。
27UQ850-Wは、27UP850N-Wの後継機種にあたります。
- 27UQ850-W: 2022年9月下旬発売
- 27UP850N-W: 2022年6月 取扱開始
- 27UP850-W: 2021年4月 取扱開始
なお、27UP850N-Wは、型番にNの付いていない27UP850-Wのマイナーチェンジ機種ですが、USB PDの供給電力が少し変わっただけです。
[参考] 27UP850N-Wと27UP850-Wの1つの違い。USB PDの電力。
そのため、この記事では「27UQ850-Wと27UP850N-Wの違い」について紹介していますが、供給電力以外の部分は、「27UQ850-Wと27UP850-Wの違い」として読んでいただくことができます。
新モデルの27UQ850-Wは、旧モデルの27UP850N-Wと比べて、次の点が異なります。
- パネルにNano IPS Black液晶を採用。
赤色の表現が豊かになり(DCI-P3 95→98%)、従来より35%黒が深く、コントラストは2倍。 - KVMスイッチ切り替え機能が新搭載。
- HDR10・ブルーライト低減モード・色覚調整モードに非対応になった。
- 対応する垂直走査周波数が40-60 Hzから、50-60 Hzに変更。
- 対応するHDCPのバージョンが2.2から2.3になった。
- 最大消費電力が185Wから157Wへ低減。
- Amazon.co.jp限定ではなくなった。
このように新モデルの27UQ850-Wでは、LGでは初めてとなるNano IPS Black液晶を採用したということと、KVMスイッチが搭載されたということが特徴です。
赤色を正確に表現してほしい方には新モデルがおすすめですが、そうでなければ検討時に安い方の機種がおすすめです。
私は新モデルを購入しましたが、コントラスト比の高さはあまり感じませんでした。
違いを表で比較すると、次のようになります。
型番 | 新 27UQ850-W | 旧 27UP850N-W |
---|---|---|
発売年 | 2022 年 9 月 | 2022 年 6 月 |
外観 |
||
パネル |
IPS (Nano IPS Black)
|
IPS |
色域 (標準値) |
DCI-P3 98%
|
DCI-P3 95% |
コントラスト |
2,000:1
|
1,200:1 |
垂直走査周波数 | 50-60Hz | 40-60Hz |
HDCP | ○ (HDCP2.3) | ○ (HDCP2.2) |
KVMスイッチ |
○
|
− |
HDR10 | − |
○
|
ブルーライト低減モード | − |
○
|
色覚調整モード | − |
○
|
消費電力(最大) |
157 W
|
185 W |
重量(スタンドなし) |
3.85 kg
|
4.1 kg |
寸法(スタンド付き) | 614×460-570×239 (mm) | 614×459-569×239 (mm) |
寸法(スタンドなし) | 614×364×44 (mm) | 614×364×45 (mm) |
取扱店 | Amazon.co.jp、家電量販店など | Amazon.co.jp限定 |
型番 | 新 27UQ850-W | 旧 27UP850N-W |
参考価格 | − | ¥47,300〜(2024/10/16 04:54) |
違いについて、少し詳しく見てみましょう。
パネル
旧モデルの27UP850N-Wでは、従来のIPSパネルが採用されていますが、新モデルの27UQ850-Wでは、Nano IPS Blackパネルが採用されています。
2022年前半にはDellから初めてLG製のNano IPS Blackパネルを搭載したディスプレイが発売され、引き締まった黒が話題になりました。LGでは、この27UQ850-Wが初めてNano IPS Black液晶を搭載したディスプレイとなります。
型番 | 新 27UQ850-W | 旧 27UP850N-W |
---|---|---|
パネル |
IPS (Nano IPS Black)
|
IPS |
コントラスト |
2,000:1
|
1,200:1 |
コントラスト比
Nano IPS Blackパネルは、従来より35%黒が深く、コントラストは2倍とされています。
コントラスト比は、2,000:1です。これまでのIPSパネルはどのメーカーでも1000:1前後でしたので、大幅に向上しました。輝度は同等ですが、黒色の光漏れを抑える(黒を深くする)ことでコントラスト比を上げています。
これは、どのくらいのコントラスト比かというと、実はVAパネル程度です。VAパネルは、どのパネルでも2000:1程度のコントラスト比です。有機ELやミニLEDのコントラスト比が「100万~200万:1」であるのと比べると、まだまだ足元にも及びません。
2000:1のコントラスト比は、1000:1と比べてどの程度良いのかというと、実際に使用する場合を考えると、部屋を真っ暗にして、パネルを2つ並べて同じ場面を比較するというような状況でなければ、違いはわからないくらいです。
照明を付けた部屋の中で使用するなら、照明光がアンチグレアパネルで散乱することで白っぽく見えてしまい、コントラストの違いはさらにわからなくなります。コントラスト比が1000倍近くある有機ELスマホでさえ、普段使用していて「IPSよりも黒が引き締まってるな〜」と感じる方はそれほどいないのではないかと思います(発色はとても良いと思いますが)が、2倍程度のコントラストの違いだとなおさらです。
このように、新モデルのNano IPS Blackパネルは、コントラスト比による実使用上の違いはわずかです。
赤色表現
個人的に強調したいのは、新モデルは赤色の表現が正確になったということです。
この点は公式ページではあまり宣伝されていませんが、新モデルは、従来のIPSパネルを採用する旧モデルと比べて「Nano IPS」パネルであるという点も優れています。
Nano IPSパネルはバックライトにナノメートル(nm)サイズの微細な粒子を使用し、粒子が余分なオレンジ色を吸収することで、より純度の高いナチュラルな色再現が可能です。
型番 | 新 27UQ850-W | 旧 27UP850N-W |
---|---|---|
パネル |
IPS (Nano IPS Black)
|
IPS |
色域 (標準値) |
DCI-P3 98%
|
DCI-P3 95% |
DCI-P3のカバー率で比べると、旧モデルは95%で、新モデルは98%と、違いはたった3%です。
しかし、新モデルでは赤色が正確に表現できるようになっていますので、わざわざDCI-P3対応のディプスプレイを選択するクリエイターの方には、新モデルの方がおすすめです。
KVMスイッチ
新モデル27UQ850-Wには、KVMスイッチが新しく搭載されています。
型番 | 新 27UQ850-W | 旧 27UP850N-W |
---|---|---|
KVMスイッチ |
○
|
− |
PC1台をUSB Type-Cに接続し、もう1台のPCを映像入力端子(HDMI、DisplayPort)とUSBアップストリーム端子(USB2.0)に接続すれば、モニターのダウンストリーム端子に接続したUSBデバイス(キーボードやマウス、USBストレージなど)や音声(内蔵スピーカーまたはヘッドホン端子に接続したオーディオ機器)を2台のPCで共有できます。
例えば、PCが2台ある場合でも、一組のキーボート・マウスを使って操作することができるので便利です。
ピクチャモード
新モデル27UQ850-Wでは、HDR10・ブルーライト低減・色覚調整モードがピクチャモードからなくなっています。
型番 | 新 27UQ850-W | 旧 27UP850N-W |
---|---|---|
HDR10 | − |
○
|
ブルーライト低減モード | − |
○
|
色覚調整モード | − |
○
|
- HDR: 通常の映像(SDR)をHDRに近い画質で表示します。
- ブルーライト低減: 画面表示を紙のような質感で表示します。
- 色覚調整: P型及びD型の色覚用のカラーモードです。赤色、緑色の表示を区別できるように配色されます。
色覚調整モードは、色盲の症状があるとか、色盲の方向けにデザインしたいという方に需要があると思います。一方で、HDRやブルーライト低減モードは色表現がおかしくなるため、クリエイター向けのこのディスプレイではあまり需要はないと思います。
これらのモードを特に使いたいというわけでなければ、どちらの機種でもよいと思います。
垂直走査周波数
旧モデルでは40-60 Hzに対応していましたが、新モデルでは 50-60 Hzに変更されています。ただ、新モデルでもHDMIまたはDisplayPort接続で、FreeSync適用時には40-60Hzに対応します。
型番 | 新 27UQ850-W | 旧 27UP850N-W |
---|---|---|
垂直走査周波数 | 50-60Hz | 40-60Hz |
他の機器と同期を取りたいなどで、40-50 Hzが必要な場合には注意が必要ですが、ほとんどの方は60 Hzで使用されると思いますので、気にしなくても良いでしょう。
HDCP
新モデルの27UQ850-Wは、HDCP2.3に対応し、旧モデルの27UP850N-Wでは、HDCP2.2に対応しています。
型番 | 新 27UQ850-W | 旧 27UP850N-W |
---|---|---|
HDCP | ○ (HDCP2.3) | ○ (HDCP2.2) |
HDCPは、著作権で保護されたデジタル映像コンテンツのコピー防止の為の規格です。これに対応していないモニタでは、Netflixなどの映画が映らない場合があります。
2022年現在はHDCP2.3が最新の規格です。HDCP2.2は4K映像に対応し、HDCP2.3は2.2のマイナーバージョンアップとされています。
現在は、HDCP2.2以上であれば視聴可能というコンテンツばかりですので、HDCP2.2に対応した27UP850N-Wでも困ることはないでしょう。
最大消費電力が185Wから157Wへ低減。
新モデルでは最大消費電力は28 W(1~2割)ほど小さく、重量は0.25 kgほど軽いです。
型番 | 新 27UQ850-W | 旧 27UP850N-W |
---|---|---|
消費電力(最大) |
157 W
|
185 W |
消費電力(標準時) |
44W
|
44W |
重量(スタンドなし) |
3.85 kg
|
4.1 kg |
寸法(スタンド付き) | 614×460-570×239 (mm) | 614×459-569×239 (mm) |
寸法(スタンドなし) | 614×364×44 (mm) | 614×364×45 (mm) |
標準時の消費電力は同じです。本体サイズは1 mmほどしか違いません。
常に最大輝度で使用していて電気代が気になるというわけなければ、これも気にしなくてもよいでしょう。
Amazon.co.jp限定ではなくなった。
旧モデルは、Amazon.co.jpでのみ取り扱いがあります。新モデルは、家電量販店でも取り扱いがあります。
入手先が広がったのは良いことですね。
(しかし私が検討したときには、Amazon.co.jpが1.5万円ほど安かったですので、結局Amazon.co.jpで購入しました。)
型番 | 新 27UQ850-W | 旧 27UP850N-W |
---|---|---|
取扱店 | Amazon.co.jp、家電量販店など | Amazon.co.jp限定 |
どちらがおすすめか
このように、新モデルの27UQ850-Wでは、旧モデルの27UP850N-Wと比べて、Nano IPS Blackパネルが採用されて、コントラスト性能が上がり赤色の表現が正確になったこと、KVMスイッチが搭載されたことが優れています。一方で、HDR10・ブルーライト低減・色覚調整モードがなくなりました。
違いをまとめると次のようになります。
- パネルにNano IPS Black液晶を採用。
赤色の表現が豊かになり(DCI-P3 95→98%)、従来より35%黒が深く、コントラストは2倍。 - KVMスイッチ切り替え機能が新搭載。
- HDR10・ブルーライト低減モード・色覚調整モードに非対応になった。
- 対応する垂直走査周波数が40-60 Hzから、50-60 Hzに変更。
- 対応するHDCPのバージョンが2.2から2.3になった。
- 最大消費電力が185Wから157Wへ低減。
- Amazon.co.jp限定ではなくなった。
赤色表現の正確さを重視する場合は新モデルがおすすめですが、そうでなければ旧モデルでも良いでしょう。広告でアピールされているコントラスト比についてはそれほどの違いはありません。
新モデル 27UQ850-Wがおすすめの方
- 正確な赤色表現を重視する。肌色の表現が正確な方が良い。
- 内臓のKVMスイッチを使いたい。2台PCがあり、1組のキーボードとマウスで操作したい。
- 最大消費電力が低いほうがよい。
旧モデル 27UP850N-Wがおすすめの方
- HDR10・ブルーライト低減モード・色覚調整モードを使用したい。
- 垂直走査周波数を、40-50 Hzにして使用したい。
- LG
- 価格¥47,300(2024/10/16 04:54時点)
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価格と機能を表で比較
価格と機能を表で比較すると次のようになります。
型番 | 新 27UQ850-W | 旧 27UP850N-W |
---|---|---|
発売年 | 2022 年 9 月 | 2022 年 6 月 |
外観 |
||
パネル |
IPS (Nano IPS Black)
|
IPS |
色域 (標準値) |
DCI-P3 98%
|
DCI-P3 95% |
コントラスト |
2,000:1
|
1,200:1 |
垂直走査周波数 | 50-60Hz | 40-60Hz |
HDCP | ○ (HDCP2.3) | ○ (HDCP2.2) |
KVMスイッチ |
○
|
− |
HDR10 | − |
○
|
ブルーライト低減モード | − |
○
|
色覚調整モード | − |
○
|
消費電力(最大) |
157 W
|
185 W |
重量(スタンドなし) |
3.85 kg
|
4.1 kg |
寸法(スタンド付き) | 614×460-570×239 (mm) | 614×459-569×239 (mm) |
寸法(スタンドなし) | 614×364×44 (mm) | 614×364×45 (mm) |
取扱店 | Amazon.co.jp、家電量販店など | Amazon.co.jp限定 |
USB PDの供給電力 | 90 W | |
画面サイズ | 27インチ | |
アスペクト比 | 16:9 | |
有効表示領域(幅×高さ) | 597×336 (mm) | |
解像度 | 3840×2160 | |
画素ピッチ | 0.1554×0.1554(mm) | |
表示色 | 約10.7億色 | |
視野角(水平/垂直) | 178° / 178°(CR≧10) | |
輝度(標準値) | 400 cd/㎡ | |
応答時間 | 5ms(GTG) | |
型番 | 27UP850N-W | 27UP850-W |
参考価格 | − | ¥47,300〜(2024/10/16 04:54) |
まとめ
LGのディスプレイの27UQ850-Wと27UP850N-Wの違いは、新モデルの27UQ850-Wでは、Nano IPS Blackパネルが採用されて、コントラスト性能が上がり赤色の表現が正確になったこと、KVMスイッチが搭載されたことです。画質が少しでもよいほうがよいなら新モデルがおすすめですが、違いはわずかです。旧モデルの価格が安いなら、旧モデルでも良いでしょう。
以上、27UQ850-Wと27UP850N-W(あるいは27UP850-W)の7つの違い。でした。
参考
27UQ850-W
27UP850N-W
- LG
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