Synologyの1ベイDiskStation DS120jとDS118は何が異なるのでしょうか。
主な違いは4つあります。表を使って、性能を詳細比較してみましょう。
4つの違い
DS120jはパーソナル向けで、DS118はホーム向け・スモールオフィス向けのNASです。
DS118の方が上位モデルで、次の点がDS120jよりも優れています。
- CPUは、DS120jでは2-core 800 MHzだが、DS118では4-core 1.4 GHzと速い。さらにDS118のCPUにはビデオエンコーダーが搭載されている。
- システムメモリは、DS120jでは 512 MBだが、DS118では1 GBと2倍ある。
- USBポートは、DS120jではUSB2.0だが、DS118ではUSB3.0。
- DS118では、フロントLEDの輝度調整が可能。
他にノイズレベルや消費電力も異なりますが、違いはわずかです。
筐体のサイズや重量は同じです。
この後で、CPUやメモリが異なることによって生じる差を詳しくみていきますが、一番大きな差は、暗号化データの最大書き込み速度が約1.6倍になることです。
そのため、暗号化データを書き込む機会が多い場合や、あるいは多人数からのアクセスがある場合には、CPUやメモリが多いDS118がおすすめです。
一方で、家庭内ストレージとして1~2人で使う用途であればDS120jで十分な性能がありますので、手頃な価格のDS120jがおすすめです。
それでは次の表で、DS120jとDS118のハードウェア仕様を比較してみましょう。
品番 | DS120j | DS118 |
画像 |
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参考価格 | ¥26,800〜(2024/11/22 03:48) |
− |
最大シーケンシャル読み書き速度 | 読み込み 112 MB/s以上 書き込み 106 MB/s以上 |
読み込み 113 MB/s以上 書き込み 112 MB/s以上 |
暗号化時 | 非公開 (参考: DS119j 読み込み 111 MB/s以上、書き込み 67 MB/s以上) |
読み込み 112 MB/s以上 書き込み 113 MB/s以上 |
CPU | Marvell Armada 3700 88F3720 64-bit 2-core 800 MHz ハードウェア暗号化エンジン |
Realtek RTD1296 64-bit 4-core 1.4 GHz ハードウェア暗号化エンジン |
ハードウェア コード変換エンジン | − | 10 ビット H.265 (HEVC), MPEG-4 Part 2, MPEG-2, VC-1;最大解像度: 4K (4096 x 2160);1 秒当たりの最大フレームレート (FPS): 60 |
システムメモリ | 512 MB DDR3L non-ECC | 1 GB DDR4 non-ECC |
ドライブ ベイ | 1 | |
互換性のあるドライブ タイプ | 3.5″ SATA HDD 2.5″ SATA HDD(別売り 2.5″ ディスク ホルダーにて対応) |
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最大シングル ボリュームのサイズ | 108 TB | |
ホットスワップ可能なドライブ | − | |
RJ-45 1GbE LAN ポート | 1 | |
USB 3.0 ポート | − | 2 |
USB 2.0 ポート | 2 | − |
ファイル システム 内部ドライブ |
EXT4 | |
外部ドライブ | EXT4 EXT3 FAT NTFS HFS+ exFAT (パッケージセンターで別途購入) |
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外寸(高さx幅x深さ) | 166 mm x 71 mm x 224 mm | |
重量 | 0.7 kg | |
システムファン | 60 mm x 60 mm x 1 pcs | |
ファン速度モード | 最高速度モード 冷却モード 低ノイズモード 低電源モード |
|
フロントLEDの輝度調整 | − | ◯ |
電源復旧 | ◯ | |
ノイズレベル | 16.9 dB(A) | 16.7 dB(A) |
電源をオン/オフに予約する | ◯ | |
Wake on LAN / WAN | ◯ | |
電源ユニット / アダプタ | 36 W | |
AC 入力電源電圧 | 100 V 〜 240 V AC | |
電源周波数 | 50/60 Hz, 単相 | |
消費電力 | 9.81 W (アクセス) 4.68 W (HDD ハイバネーション) |
9.4 W (アクセス) 4.22 W (HDD ハイバネーション) |
保証 | 2 年 | |
パッケージ内容 | 本体 1 台 アクセサリ パック 1 個 AC 電源アダプター 1 個 RJ-45 LAN ケーブル 1 本 クイック インストール ガイド 1 冊 |
ノイズレベルと消費電力は誤差程度ですが、DS118の方が小さいです。
システムファンのノイズレベルは小さく、人にもよりますが寝室に置いても気にならないレベルでしょう。ハードディスクのアクセス音の方が大きいと思います。
主な違いについて詳しく見ていきましょう。
CPU
DS120jのCPUは、2-core 800 MHzのものですが、DS118は4-core 1.4 GHzと、コア数が多く、クロック数も速いCPUが採用されています。
これにより、特に暗号化時のシーケンシャル書き込み速度が上昇します。
DS120jの暗号化時の読み書き速度は公開されていませんが、同じCPUを搭載している前モデルDS119jでは、読み込みが111 MB/s以上、書き込みが 67 MB/s以上です。
DS118では、読み込みが 112 MB/s以上で、書き込みが 113 MB/s以上です。
読み込み速度の方は1 GbEネットワークの速度で頭打ちしておりDS120jとDS118ではほぼ同じ速度ですが、書き込み速度はDS118が1.6倍程度速いことがわかります。
データを暗号化して保存しておくと、ハードディスクを抜き取られてデータを読まれてしまうことを防止できます。
データを暗号化するつもりの方は、書き込み速度も速いDS118の方が良いでしょう。
さらに、DS118のCPUにはハードウェアコード変換エンジンが搭載されています。
ビデオフォーマットがメディアプレーヤー(パソコン、スマホ、Chrome Cast、Apple TVなど)でサポートされていない場合でも、互換性のあるフォーマットに変換して出力することができます。DLNAでは変換されません。出力解像度は最大1080pのようです。
(公式) Synology NAS は私のデバイスから 4K ビデオ トランスコーディングを実行できますか?
動画のストレージとして使う場合には、ハードウェアコーダーがあってもよいでしょう。
メモリ
DS118は、DS120jと比べて、2倍の1 GBのシステムメモリを搭載しています。
これにより、アプリケーションを使用する場合の制限が、例えば次のように緩和されます。
- CIFS、FTP、AFP の最大同時接続数が50から200に増える
- Download Stationの同時ダウンロードタスクの最大数が50から80に増える。
- Surveillance StationのIPカメラのフレームレートが増える。
多人数で使うのでなければ、CIFS、FTP、AFP の最大同時接続数はDS120jの50でも十分でしょう。
しかし、多数のサービスを実行したり、サーバを外部に公開したりするのであればDS118のほうが良いでしょう。
IPカメラについては、メモリが多い方がバッファを多く取れるので、フレームレートを大きくできると思われます。
H.264、4Kで記録する場合には、DS120jでは20FPSですが、DS118では40FPSとなります。なめらか高画質で記録したい場合には、DS118のほうがよいでしょう。
詳細を知りたい場合には、次の表でソフトウェア仕様を比較していますので、参考にしてみてください。
品番 | DS120j | DS118 |
画像 |
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参考価格 | ¥26,800〜(2024/11/22 03:48) |
− |
ストレージ管理 最大内部ボリューム数 |
1 | |
iSCSI Target の最大数 | 10 | |
iSCSI LUN の最大数 | 10 | |
SSD TRIM | ◯ | |
対応する RAID タイプ | Basic | |
ファイル サービス ファイル プロトコル |
CIFS/AFP/NFS/FTP/WebDAV | |
CIFS、FTP、AFP の最大同時接続数 | 50 | 200 |
Windows アクセス コントロール リスト(ACL)統合 | ◯ | |
NFS Kerberos 認証 | ◯ | |
アカウントと共有フォルダ 最大ローカルユーザーアカウント数 |
512 | 2,048 |
最大ローカルグループ数 | 128 | 256 |
最大共有フォルダ数 | 256 | |
共有フォルダの同期の最大タスク数 | 2 | 4 |
ログ センター Syslog イベント/秒 |
50 | 100 |
一般仕様 ネットワーキング プロトコル |
SMB1 (CIFS), SMB2, SMB3, NFSv3, NFSv4, NFSv4.1, NFS Kerberized sessions, iSCSI, HTTP, HTTPs, FTP, SNMP, LDAP, CalDAV | |
対応ブラウザ | Google Chrome Firefox Microsoft Edge Internet Explorer 10 以降 Safari 10 以降 Safari (iOS 10 以降) Google Chrome (Android 6.0 以降) |
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対応言語 | English, Deutsch, Français, Italiano, Español, Dansk, Norsk, Svenska, Nederlands, Русский, Polski, Magyar, Português do Brasil, Português Europeu, Türkçe, Český, ภาษาไทย, 日本語, 한국어, 繁體中文, 简体中文 | |
アドオン パッケージ | ||
Download Station 同時ダウンロードタスクの最大数 |
50 | 80 |
exFAT Access(オプション) | ◯ | |
Media Server DLNA コンプライアンス |
◯ | |
Moments | Moments の次の機能は、このモデルではサポートされていません:顔認識、被写体認識、オート カラーおよび自動回転、Moments セレクト。 | |
Surveillance Station 最大 IP カメラ数 |
5 (2 個の無償ライセンスを含む) | 15 (2 個の無償ライセンスを含む) |
フレーム/秒 (H.264) | 150 FPS @ 720p (1280×720) 120 FPS @ 1080p (1920×1080) 70 FPS @ 3M (2048×1536) 40 FPS @ 5M (2591×1944) 20 FPS @ 4K (3840×2160) |
450 FPS @ 720p (1280×720) 180 FPS @ 1080p (1920×1080) 110 FPS @ 3M (2048×1536) 80 FPS @ 5M (2591×1944) 40 FPS @ 4K (3840×2160) |
フレーム/秒 (H.265) | 150 FPS @ 720p (1280×720) 150 FPS @ 1080p (1920×1080) 130 FPS @ 3M (2048×1536) 65 FPS @ 5M (2591×1944) 30 FPS @ 4K (3840×2160) |
450 FPS @ 720p (1280×720) 450 FPS @ 1080p (1920×1080) 210 FPS @ 3M (2048×1536) 120 FPS @ 5M (2591×1944) 60 FPS @ 4K (3840×2160) |
フレーム/秒 (MJPEG) | 50 FPS @ 720p (1280×720) 50 FPS @ 1080p (1920×1080) 40 FPS @ 3M (2048×1536) 40 FPS @ 5M (2591×1944) |
210 FPS @ 720p (1280×720) 70 FPS @ 1080p (1920×1080) 50 FPS @ 3M (2048×1536) 30 FPS @ 5M (2591×1944) |
Synology Drive ホストされるファイルの推奨数 |
10,000 | 100,000 |
PC クライアントの場合の同時接続推奨数 | 5 | 200 |
Video Station ビデオ コード変換 |
グループ 2 | 4K グループ 3 |
VPN Server 最大接続数 |
10 | 20 |
USBポート
USBポートは、どちらも背面に2つ付いていますが、インターフェイスはDS120jではUSB2.0、DS118ではUSB3.0です。
USB2.0の理論転送速度は480 Mbpsで、USB3.0は5 Gbpsです。
USBポートは、外付けハードディスクを接続してデータ転送する場合などに使いますが、USB3.0に対応している方が速く転送できます。
とはいえ、10倍の速度が出るわけではなく、最近のハードディスクの内部転送速度は170~180 MB/s、つまり1.5 Gbps程度ですので、USB3.0経由でシーケンシャル読み書きをしてもUSB2.0の3倍ほどの速度しかでません。
USB2.0でも、1 Gbイーサーネットの半分程度の速度ですので、使い方によっては特に困らないでしょう。
あとは、USB3.0ポートがあれば5 GbEポートアダプターを増設することができますので、ネットワークの拡張性を重視する場合にはDS118が良いでしょう。
フロントLED
細かい点ですが、DS118ではフロントLEDの輝度調整が可能です。
寝室にNASを置く場合には、暗い部屋でLEDがチカチカするのが気になる方もいらっしゃるかもしれませんが、輝度調整で暗めに設定できると便利です。
うちの寝室に置いているNASでも、LED輝度は暗めに設定しています。ただ、ルーターやONUのLEDランプは明るいままなのであまり変わらないですね。
どちらがおすすめか
このように、DS120jとDS118を比べると、DS118はCPUが速くメモリが多いです。
これにより、暗号化データの書き込みや、多人数でのアクセス、リアルタイムでの動画の書き込みなど負荷がかかる作業でも比較的スムーズに利用することができます。
USB3.0を搭載しており拡張性が高いのも魅力的です。
そのため、3人以上で使用する予定であるとか、負荷のかかるサービスを実行する場合など、ホーム・スモールオフィス向け用途にはDS118がおすすめです。
一方で、家庭用のローカルファイルサーバーとして1~2人で使うパーソナルユースであれば、DS120jで十分な性能がありますので、DS120jがおすすめです。
暗号化データを扱う場合でも、もし無線LANのIEEE802.11a/b/g/nで接続する場合には、無線LANの方が速度のボトルネックになりますので書き込み速度の遅さは気にならないでしょう。
DS120jはNASとしては安価ですので、自分にどのくらいの性能のNASが必要かわからなかったらまずはこれを使ってみて、やりたいことが増えて不足を感じたら高性能なNASを買い足すという方針がおすすめです。
価格は次のようになっています。
品番 | DS120j | DS118 |
画像 |
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参考価格 | ¥26,800〜(2024/11/22 03:48) |
− |
まとめ
Synologyの1ベイDiskStation DS120jとDS118の性能を比較してきました。
DS120jはパーソナル向け製品で、DS118はホーム・スモールオフィス向け製品です。
家庭内ネットワークでのファイル置き場として使用するだけであればDS120jで十分な性能がありますが、暗号化データの書き込みや多人数でのアクセス、負荷のかかるサービスの実行をする場合にはDS118がおすすめです。
なお、中に入れるハードディスクには、24時間365日常時稼働のNAS用に設計されているウエスタンデジタル社のWD Redがおすすめです。
あるいは、複数のバックアップのうちの一つとして割り切って使うのであれば、一般・デスクトップ用のWD Blueも手頃で良いでしょう。
シリーズ | WD Red / Red Plus | WD Blue |
画像 |
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2 TB | ¥22,400〜(2024/11/22 00:01) |
¥12,200〜(2024/11/21 19:48) |
3 TB | ¥30,000〜(2024/11/21 19:48) |
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4 TB | ¥26,464〜(2024/11/21 19:48) |
− |
6 TB | ¥58,880〜(2024/11/21 19:48) |
¥17,500〜(2024/11/22 03:48) |
8 TB | ¥42,000〜(2024/11/21 19:48) |
– |
12 TB | ¥89,800〜(2024/11/22 00:01) |
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以上、DS120jとDS118の4つの違い!仕様を詳細比較。でした。