キャリーフラグ(CF)もオーバーフローフラグ(OF)も、演算をした結果がレジスタに納まらないときに立つフラグですが、二つはどう違うのでしょうか。
簡単にいうと、キャリーフラグは「符号なし演算」のための桁あふれフラグであり、オーバーフローフラグは「符号付き演算」のための桁あふれフラグです。
キャリーフラグ
定義
CFは符号無し演算のときなどに意味をなすフラグです。二つのオペランドの最上位ビット(MSB)をA,Bとし、MSBよりも一つ低いビットからの桁上がりをCY_INとすると、論理式では、
CF = A・B + B・CY_IN + CY_IN・A
と表せます。
つまり、A, B, CY_INのいずれか2つ以上が1であれば、CFが立ちます。
これは、符号なしの二つの数をX, Yとすると、「二つを足し合わせたもの(X + Y =) Zが、Xよりも小さい(Z < X)ときにCFが立つ」、と言いかえることも出来ます。
例
例えば、8ビットのレジスタで
FFh + 01h ;255 + 1
を計算すると、8ビットでは桁が足りないため、256を意味する100hではなく、
00h
となります。そして、この計算ではA=1, B=0, CY_IN=1であり、キャリーフラグが立つことになります。
オーバーフローフラグ
定義
一方、OFは符号有り演算のときなどに意味をなすフラグです。先ほどと同様に二つのオペランドのMSBをA,Bとし、加算結果のMSBをCとすると、論理式では、
OF = A・B・_C + _A・_B・C
と表せます。_はNOTの意味です。
つまり、AがBと等しくCと違う(A = B, A != C)ときにOFが立ちます。
これは符号有りの加算で考えると、MSBが符号に対応することに注意して、
- 負(X < 0)と負(Y < 0)の和(Z = X + Y)が正(Z > 0)となるか、
- 正(X > 0)と正(Y > 0)の和が負(Z < 0)となる
ときにOFが立つ、と言うことができます。なお、正と負の加算では、必ず期待通りの値が得られるのでフラグは立ちません。
例
例えば、
7Fh + 01h ;127 + 1
を計算すると、符号有りの計算ではMSBは符号を表しているため、128とはならず、
80h ;-128
となります。そして、この計算ではA = 0, B = 0, C = 1であり、OFが立つことになります。
参考
このような、どういう演算をしたときにフラグが立つかという話は、アセンブリの本よりも、デジタル電子回路の本の方が詳しいです。そのため、もっと詳しいことを知りたい方は、デジタル回路の本をお勧めします。
おすすめの本
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