ブラザーの家庭用ミシンPS203とPS203Xはよく似ていますが何が異なるのでしょうか。違いは8つあります。わかりやすく紹介します。
目次
8つの違い
PS203Xは、PS203の後継機種です。PS203は2011年発売で、PS203Xは2021年発売です。
どちらもブルー色です。PS202とPS202Xという機種もありますが、これらは性能は同じでピンク色の機種です。(私はPS202を2012年頃に購入しました。)
PS203Xは、PS203と比べて次の点が変更になりました。
- ふところ横幅が 1.2 cm広い 15.8 cmになり、布の取り回しがしやすくなった。フリーアーム縫いの横幅も少し広くなり、袋物ぬいもしやすくなった。
- 自動返し縫い・止め縫い機能が付き、起動時の針基線、最高縫製速度(普通/速度制限)、電子音の切り替えができるようになった。
- ぬい模様が3種類変更になった。(「アップリケ」x2・「手ぬい風直線」が、「シェルタック」・「サテンスカラップ」・「つきあわせ」へ)
- 模様縫い押さえ(N)が付属。
- アルミダイキャストフレームを採用し縫製能力がアップ。
- 糸調子ダイヤルが前面に移動した。
- 最高回転数が、710回/分から750回/分に上がった。
- LEDライトが2つから1つに減った。
PS203Xでは本体デザインが角張った感じになり、細かい部分が改善されていますが、全体の性能としてはほぼ同じです。
どちらの機種もコスパの良い入門機種で、入園グッズ制作で使いたいとか、たまにしか使わないけど一台は家にミシンを置いておきたいという方におすすめです。
違いを表で比較すると、次のようになります。
型番 | PS203 | PS203X |
---|---|---|
発売年 | 2011 | 2021 |
外観 |
||
ふところ横幅 | 14.6 cm |
15.8 cm
|
設定 | 針停止位置(上下) |
針停止位置(上下)
起動時の針基線
最高縫製速度(普通/速度制限) 自動返し縫い・止め縫い 電子音の切り替え |
ぬい模様 | 20種類 (アップリケ2種・手ぬい風直線を含む) |
20種類 (シェルタック・サテンスカラップ・つきあわせを含む) |
付属押さえ | ボタン穴かがり押さえ(A) たち目かがり押さえ(G) 片押さえ(I) ジグザグ押さえ(J) まつりぬい押さえ(R) |
ボタン穴かがり押さえ(A) たち目かがり押さえ(G) 片押さえ(I) ジグザグ押さえ(J) まつりぬい押さえ(R) 模様縫い押さえ(N) (サテンスカラップで使用)
|
アルミダイキャストフレーム | − |
◯
|
糸調子ダイヤル | 上面 | 前面 |
モーター最高回転数 | 710 回/分 |
750 回/分
|
LEDライト | 2つ | 1つ |
本体サイズ | 高さ 29.1 x 幅 40.7 x 奥行 17.0 cm | 高さ 31.0 x 幅 41.3 x 奥行 16.9 cm |
質量 | 4.5 kg | 4.8 kg |
型番 | PS203 | PS203X |
参考価格 | − | ¥24,000〜(2024/11/21 20:20) |
違いについて、詳しく見てみましょう。
フトコロ横幅
フトコロとは、針から右側のスペースのことです。
PS203Xでは、PS203と比べて、フトコロが1.2 cm広い15.8 cmになりました。一方で、本体サイズの横幅は6 mm、高さは1.9 cm増えています。
PS202X(画像はブラザー公式ページより引用。)
フトコロが広いほうが、布を回転させるときなどに引っかからず使いやすいです。
私はPS202で大きいものを縫うときには、布を右側にぎゅうぎゅう押し込んで使っていました。
PS203
1.2 cmなのでわずかですが、少し大きいものも縫いたいという方は、PS203Xが良いでしょう。
また、PS203Xでは補助テーブル(針の手前下側にある収納箱)の横幅も数センチ大きくなっています。フリーアーム縫いでは収納箱を外して使いますが、このときの横幅も少し広くなることになり、袋物ぬいなどが少ししやすくなりました。
型番 | PS203 | PS203X |
---|---|---|
外観 |
||
ふところ横幅 | 14.6 cm |
15.8 cm
|
本体サイズ | 高さ 29.1 x 幅 40.7 x 奥行 17.0 cm | 高さ 31.0 x 幅 41.3 x 奥行 16.9 cm |
参考価格 | − | ¥24,000〜(2024/11/21 20:20) |
設定項目
どちらの機種も、針停止位置を上・下のどちらかに設定することができます。
PS203Xでは、それに加えて、自動返し縫い・止め縫い機能が付きました。また、起動時の針基線や最高縫製速度、電子音の切り替えができるようになりました。
自動返し縫い機能は、直線縫いを始めると自動で返し縫いをしてくれる機能です。私はこの機能がついている他のミシンを持っていますが、使ったり使わなかったりまちまちの機能です。あったら便利かもしれませんが、なくても困りません。
他の機能についてもあってもなくても、どちらでも良いでしょう。
- 起動時の針基線は、起動時に針が左か真ん中のどちらにあっても気にしないと思います。
- 最高縫製速度が制限できる機能は、フットコントローラーを使う・使わないにかかわらず、スライドつまみで速度の調整ができます。
- 電子音はうるさいかもしれませんが、ミシンの振動音のほうが響きますし、エラー音はあったほうが便利です。
自動返し縫い・止め縫いを使いたい場合は、PS203Xがおすすめということになります。
型番 | PS203 | PS203X |
---|---|---|
外観 |
||
設定 | 針停止位置(上下) |
針停止位置(上下)
起動時の針基線
最高縫製速度(普通/速度制限) 自動返し縫い・止め縫い 電子音の切り替え |
参考価格 | − | ¥24,000〜(2024/11/21 20:20) |
ぬい模様
どちらの機種も20種類のぬい模様がついています。
コンピューターミシンでよく使うのは、直線ぬい、伸縮ぬい、ジグザグ、たち目かがり、まつりぬい、ボタン穴かがりですが、これらはどちらの機種にも搭載されています。
PS203Xでは、パッチワーク、ブラウス、ワンピース、ハンカチなどの飾りぬいに使う模様が3種類変更になっています。
PS203Xのぬい模様は次の20種類です。
PS203Xのぬい模様。(画像はブラザー公式ページより引用。)
この中の「シェルタック」・「サテンスカラップ」・「つきあわせ」の3種類が PS203には無く、代わりに次の「アップリケ」2種と「手ぬい風直線」が搭載されています。
PS203にのみ搭載されているぬい模様。(画像はブラザー公式ページより引用。)
このような飾りぬいは、多くの方が一度も使うことのない模様です。
特に使いたい模様があるわけでなければ、どちらでも良いでしょう。
型番 | PS203 | PS203X |
---|---|---|
外観 |
||
ぬい模様 | 20種類 (アップリケ2種・手ぬい風直線を含む) |
20種類 (シェルタック・サテンスカラップ・つきあわせを含む) |
参考価格 | − | ¥24,000〜(2024/11/21 20:20) |
付属押さえ
どちらの機種も基本的な押さえは付属しています。
PS203Xでは、模様ぬい押さえ(N)が多く付属します。
(画像はブラザー公式ページより引用。)
この模様ぬい押さえ(N)は、サテンスカラップ模様を縫うときに使用する押さえです。PS203では、サテンスカラップ模様がありませんので、必要ない押さえです。
なお他に、みつまきで始末をしたい場合は「みつまき押さえ」、コンシールファスナーを縫い付けたい場合は「コンシールファスナー押さえ」もあると便利ですが、必要になったらその都度購入すれば良いでしょう。
型番 | PS203 | PS203X |
---|---|---|
外観 |
||
付属押さえ | ボタン穴かがり押さえ(A) たち目かがり押さえ(G) 片押さえ(I) ジグザグ押さえ(J) まつりぬい押さえ(R) |
ボタン穴かがり押さえ(A) たち目かがり押さえ(G) 片押さえ(I) ジグザグ押さえ(J) まつりぬい押さえ(R) 模様縫い押さえ(N) (サテンスカラップで使用)
|
参考価格 | − | ¥24,000〜(2024/11/21 20:20) |
アルミダイキャストフレーム
PS203Xではアルミダイキャストフレームを搭載し、剛性が上がり、縫製能力があがっているということです。
といっても質量は0.3 kgしか増えておらず、上位機種ほどに剛性が上がっているわけではなさそうです。歪みやすかった部分がすこし丈夫になったくらいに考えておくとよいでしょう。
型番 | PS203 | PS203X |
---|---|---|
外観 |
||
アルミダイキャストフレーム | − |
◯
|
質量 | 4.5 kg | 4.8 kg |
参考価格 | − | ¥24,000〜(2024/11/21 20:20) |
糸調子ダイヤルの位置
PS203Xでは糸調子ダイヤルが前面にあり、PS203では上部にあります。
PS203Xでは「前面にあるので調整しやすくなった!」というのがアピールポイントになっています。
個人的には、糸調子は縫っている最中に触るものではありませんので、針周りに余計な出っ張りのないPS203のほうがよいかなと思います。
型番 | PS203 | PS203X |
---|---|---|
外観 |
||
糸調子ダイヤル | 上部 | 前面 |
参考価格 | − | ¥24,000〜(2024/11/21 20:20) |
最高回転数
モーターの最高回転数は、PS203Xは 750 回/分で、PS203は 710 回/分です。
PS203Xのほうが、少し早く縫うことができます。
(ちなみに最高速度で縫うとミシン全体が上下に揺れますので実用的ではありません。)
型番 | PS203 | PS203X |
---|---|---|
外観 |
||
モーター最高回転数 | 710 回/分 |
750 回/分
|
参考価格 | − | ¥24,000〜(2024/11/21 20:20) |
LEDライト
どちらもLEDライトを搭載しています。PS203では2つありますが、PS203Xでは1つに減りました。
これは、白色LEDの性能が上がって 1灯でも十分明るいからなのではないかと思います。
型番 | PS203 | PS203X |
---|---|---|
外観 |
||
LEDライト | 2つ | 1つ |
参考価格 | − | ¥24,000〜(2024/11/21 20:20) |
どちらがおすすめか
PS203Xでは、PS203と比べて、次のような変更がありました。
- ふところ横幅が 1.2 cm広くなり、布の取り回しがしやすくなった。フリーアーム縫いの横幅も少し広くなり、袋物ぬいもしやすくなった。
- 自動返し縫い・止め縫い機能が付き、起動時の針基線、最高縫製速度(普通/速度制限)、電子音の切り替えができるようになった。
- 飾りぬい模様が3種類変更になった。
- 模様縫い押さえ(N)が多く付属する。
- アルミダイキャストフレームを採用し縫製能力がアップ。
- 糸調子ダイヤルが前面に移動した。
- 最高回転数が、710回/分から750回/分に上がった。
- LEDライトが2つから1つに減った。
機能を細かく見ていくとこのような違いはありますが、実用上はそれほど大きな違いではありません。一方で、デザインは大きく違いますので、好みのデザインのほうを選べば良いのではないかと思います。
PS203Xは次のような方におすすめです。
- 角張ったスタイリッシュなデザインのほうが好み。
- フトコロが広いほうがよい。
- 自動返し縫い・自動止め縫い機能を使いたい。
- シェルタック・サテンスカラップ・つきあわせ模様を使いたい。
- 少しでも丈夫な方が良い。
- 製造年が新しいほうが良い。
PS203は次のような方におすすめです。
- 丸く可愛いデザインのほうが好み。
- アップリケ2種・手ぬい風直線模様を使いたい。
- 糸調子ダイヤルが、縫い物の邪魔にならない上部にあったほうが良い。
どちらの機種も、初めて買うミシンとしてちょうど良い機種です。
安すぎてすぐに壊れてしまうミシンもありますが、この機種は年に数回ほど使うという一般的な使い方の場合には長年使うことができるミシンです。
入園グッズの製作をしたいという方や、ぞうきんを縫って持っていかなければならないという方におすすめです。
うちのPS202は購入から10年くらいたちますが、糸案内が壊れたりはしていますが、まだ動きます。デニム・帆布などの厚物縫いを頻繁にしたり、趣味の洋裁に使うには剛性やパワーが足りませんが、そういう使い方をするようになったら、より上位の家庭用ミシンや、専門学校で使うような直線縫い専用の職業用ミシンを購入すればよいと思います。
価格と機能を表で比較
PS203とPS203Xの価格と機能を表で比較すると次のようになります。
型番 | PS203 | PS203X |
---|---|---|
発売年 | 2011 | 2021 |
外観 |
||
参考価格 | − | ¥24,000〜(2024/11/21 20:20) |
型番 | PS203 | PS203X |
ふところ横幅 | 14.6 cm |
15.8 cm
|
設定 | 針停止位置(上下) |
針停止位置(上下)
起動時の針基線
最高縫製速度(普通/速度制限) 自動返し縫い・止め縫い 電子音の切り替え |
ぬい模様 | 20種類 (アップリケ2種・手ぬい風直線を含む) |
20種類 (シェルタック・サテンスカラップ・つきあわせを含む) |
付属押さえ | ボタン穴かがり押さえ(A) たち目かがり押さえ(G) 片押さえ(I) ジグザグ押さえ(J) まつりぬい押さえ(R) |
ボタン穴かがり押さえ(A) たち目かがり押さえ(G) 片押さえ(I) ジグザグ押さえ(J) まつりぬい押さえ(R) 模様縫い押さえ(N) (サテンスカラップで使用)
|
アルミダイキャストフレーム | − |
◯
|
糸調子ダイヤル | 上面 | 前面 |
モーター最高回転数 | 710 回/分 |
750 回/分
|
LEDライト | 2つ | 1つ |
型番 | PS203 | PS203X |
送り歯枚数 | 6 枚 | |
糸通し | クイック糸通し | 3ステップ糸通し |
自動糸切り | − | |
自動糸調子 | − | |
押え圧調整 | − | |
下糸クイック | ◯ | |
簡単下糸巻き | ◯ | |
ドロップフィード | ◯ (フリーモーションに便利な送り歯を下げる機能) | |
フリーアーム | ◯ | |
スロースピード | ゆっくりスタート・スーパースロー | |
本体サイズ | 高さ 29.1 x 幅 40.7 x 奥行 17.0 cm | 高さ 31.0 x 幅 41.3 x 奥行 16.9 cm |
質量 | 4.5 kg | 4.8 kg |
フットコントローラーは必要?
これまでにフットコントローラーを使ったことのある方は、購入するのがおすすめです。ないと、発狂するくらい使いにくいです。
一方で、これまでにフットコントローラーを使ったことのない方は、購入しなくてもよいでしょう。なくても使用できます。
結論は上記のようになりますが、一般論としてフットコントローラーがあると、手元が自由になり便利です。
私はフットコントローラーがないとミシンは使えません。座卓でミシンを使う場合でも脚をたててフットコントローラーを使います。
でも、フットコントローラーを使ったことのない方に「フットコントローラーがあるけど使う?」と聞いてもいらないと言われますし、使い方を見ていると、布を両手で押さえながら、器用に人差し指でスタート・ストップボタンを押して使っていますので、慣れていればそれでも使えるようです。
迷ったら、とりあえず買わないでおいて、必要になったときに買えばよいでしょう。
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余談ですが、職業用ミシンでは、押さえも脚で上下することができますが、職業用ミシンに慣れている方だと、あれもないと使いにくいのだろうなと思います。
ワイドテーブルは必要?
必要ないでしょう。
一般論としては、ワイドテーブルはカーテンやワンピースなど大きなものを縫いたいときにあると便利です。でも、PS203/PS203Xは、そのような大きなものを縫うのに向いたミシンではありませんので、大物縫いをする予定があるなら別のミシンを選んだほうがよいかもしれません。(ワイドテーブルなしのPS202でカーテンも一応縫えましたが、おすすめはしません。)
またワイドテーブルを購入した方の口コミを見ると、出すのが面倒で使わなくなった、しまうときに場所をとって困るというものが多いです。(メルカリを見ても、家庭用ミシンのワイドテーブルは多く出品されていて売れ残っています…)
PS203/PS203Xは、ミシンを使うときだけ机に出して使うのに便利なコンパクトなミシンです。ワイドテーブルも使うたびに出し入れするのは面倒かもしれません。
あと、PS203/PS203Xは標準のテーブルがフラットに作られているので、他のミシンよりもワイドテーブルを使わなくても縫いずれをおこしにくいです。
必要になったら、新品同様のものをメルカリなどで安く買うというのでもよいと思います。
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まとめ
ブラザーの家庭用ミシンPS203Xは、PS203と比べて、フトコロが少し広くなり、自動返し縫い機能が付きました。飾りぬい模様も3つ変わっています。性能上はそれほど大きな違いはありませんので、好みのデザインの方を選ぶと良いでしょう。
以上、PS203XとPS203の8つの違い。でした。
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