WD Redは、NAS向けのHDDとされていますが、具体的にどのような機能が備わっているのでしょうか。
仕様上はデスクトップ向けのWD Blueとどの点が異なるのでしょうか。
3つのNAS向け機能とは、次のものです。
- 連続稼働への対策
- 振動対策
- RAIDコントローラ対応
一つずつみていきましょう。
連続稼働への対策
常時稼働環境では、1日8時間使用する環境と比べ、合計の稼働時間は3倍も長くなります。
WD Redは、平均故障間隔(MTBF、HDDが壊れるまでの平均時間)は100万時間(~114年)と標準的なデスクトップHDDよりも35%高くなっています。
その分、製品保証期間はBlueが2年なのに対しRedは3年と、1.5倍になっています。
Redの値段はBlueの5~7割増しですが、保証期間が5割増しなので、妥当な値段なのかもしれません。
また、NASやRAIDの常時稼働環境では周囲温度が高くなります。
HDDの周囲温度が高いと、HDD寿命が非常に短くなると言われます。
WD Blueの動作可能温度は0~60度Cなのに対して、WD Redは0~65度Cと、5度余裕があります。
個人用NASだと、静音を重視するため十分な冷却ファンが付いてないこともありますので、上限温度に余裕があるのは利点です。
振動対策
4ベイ・8ベイなどの多ベイ運用が通常のNASでは隣接したHDDから振動を受けますので、WD Redには振動対策がいくつもなされています。
- 自身の振動やノイズを最小限に抑える「3D Active Balance Plus」技術
- 隣接するHDDの振動の影響を削減する「Rotary Acceleration Feed Forward (RAFF)」技術
- リアルタイムで振動による磁気ヘッダへの悪影響を軽減する「動的フライハイト」技術
このように、自身が振動をしないようにするだけでなく、周囲の振動を拾いにくくしたり、拾ってしまったとしても影響を軽減しようとする技術が使われています。
RAIDコントローラ対応
WD Redには「NASware3.0」と呼ばれるファームウェアが搭載されています。
このファームウェアは各種のNASキットとの互換性が高くなっており、使用HDDとしてWD Redを推奨するNAS製品もあるほどです。
NASに複数のHDDを挿す場合でも、WD Redなら安定して動くだろうという安心感があります。
また、NASware3.0にはNAS用のエラーリカバリ制御機構も入っています。
HDDに障害が発生した際にはHDDによってリカバリが行われますが、このリカバリ作業が長いと、RAIDがHDDが故障したと判断して切り離してしまいます。
WD Redでは、そうならないようにHDDによるリカバリを途中で切り上げてRAIDのリカバリに委ねる「RAIDエラーリカバリ制御機構」が搭載されています。
このようにWD Redでは価格相応だと思われるくらいに、NASで使用する際の信頼性が高く、保証期間も長くなっています。
仕様の違い
一方、HDDのパフォーマンス・静音性・耐衝撃性では、次の仕様で示すようにWD Blueと違いはありません。
仕様表示上異なるのは、次の3点です。
- ロード/アンロードサイクル
- 製品保証期間
- 動作時温度
仕様 | Blue | Red |
製品型番 | WD40EZRZ | WD40EFRX |
インターフェース | SATA 6 Gb/s | SATA 6Gb/s |
フォーマット済み容量 | 4 TB | 4TB |
Advanced Format | 対応 | 対応 |
フォームファクター | 3.5インチ | 3.5インチ |
RoHS準拠 | 対応 | 対応 |
パフォーマンス | ||
データ転送レート(最大) | ||
バッファからホスト | 6 Gb/s | 6Gb/s |
ホストからドライブ/ドライブからホスト(サステインド) | 150 MB/s | 150 MB/s |
キャッシュ(MB) | 64 | 64 |
回転速度(RPM) | 5400 RPMクラス | 5400 RPMクラス |
信頼性/データ整合性 | ||
ロード/アンロードサイクル | 300,000 | 600,000 |
ビット読み取りあたりの回復不可能な読み 取りエラー |
1/1014以下 | 1/1014以下 |
製品保証(年) | 2 | 3 |
電源管理 | ||
12VDC ±10%(A、ピーク) | 1.75 | 1.75 |
平均所要電力(W) | ||
読み取り/書き込み | 5.3 | 4.5 |
アイドル | 3.4 | 3.3 |
スタンバイ/スリープ | 0.4 | 0.4 |
環境仕様 | ||
温度(°C) | ||
動作時 | 0~60 | 0~65 |
非動作時 | -40~70 | -40~70 |
耐衝撃性(Gs) | ||
動作時(2ms、書き込み) | 30 | 30 |
動作時(2ms、読み取り) | 65 | 65 |
非動作時(2ms) | 250 | 250 |
動作音(dBA) | ||
アイドル | 25 | 25 |
シーク(平均) | 28 | 28 |
まとめ
WD Redは、WD BlueとHDDのパフォーマンス・静音性・耐衝撃性では差がありません。
しかし、WD Redには次の3つのNAS向け機能が備わっており、家庭やスモールオフィスのNASに安心して搭載することができます。
- 連続稼働への対策
製品保証3年・周囲温度0~65度C - 振動対策
3つの振動対策技術を採用 - RAIDコントローラ対応
NASとの互換性が高い
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NASにWD Blueを使ったらダメなのか?WD Redとの機能・性能の違い。
以上、WD Redの3つのNASに特化した機能とは?でした。