ソニーのストリーミング対応のAndroidウォークマンNW-ZX507を購入しましたので、Mac環境でのファーストインプレッションを紹介します。
目次
Androidウォークマン
NW-ZX507は、ZX300の後継機種に位置づけられる製品です。
ZX300は独自OSでしたが、ZX507はAndroidを搭載しており、Amazon Musicなどのストリーミングサービスを利用できるのが特徴です。
ハードウェア面では、ウォークマンの上位機種であるNW-WM1Aで培った主要技術のいくつかを採用しているようで、ポータブル再生機としては音質と値段のバランスが取れた製品に仕上がっているのではないかと思います。
またアップスケーリング技術のDSEE HXについては、新しいだけあってNW-WM1Aよりも性能がよくなっているようです。
シルバーとブラック色があります。
アルマイト加工の色の違いによっても微妙に音が変わってくるらしいのですが、好みの方のブラック色をAmazonで購入しました。
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開梱
商品の内容を紹介していきます。
箱です。
箱の裏面です。
箱を開けると、紙製の黒い内箱が出てきます。高級感があります。
黒い内箱を開くとNW-Z507が出てきます。
左には説明書類、右にはUSBケーブル1本とUSB端子用のゴム蓋1つが入っていました。
説明書も多くはWebで見るようになっており、付属品は少なめで好印象です。
本体です。
本体は縦長で、上部の端は角ばっていますが、下部の端は丸みのあるデザインで、好みが分かれると思います。
画面は3.6インチディスプレイで、スマホとしては小さいです。ZX300とは異なり光沢パネルになっています。普通のスマホのような外観です。
なお光沢パネルの下1/4くらいは、ディスプレイにはなっていませんので何も写りません。ウォークマンのw.マークが入っています。
右サイドです。
電源・音量・再生・曲送り・戻し・HOLDボタンが配置されており、基本操作ができるようになっています。
ただフラットなボタンとなっているので、さわり心地で、触っている部分がボタンなのかケースなのか区別することはできません。
そのため、ポケットにいれたまま操作するのは難しそうです。
一応、音量アップと一時停止ボタンには点の出っ張りがありますので、慣れればなんとかなるかもしれませんが。
上部のジャック部分です。
バランス4.4mmとアンバランス3.5mmの端子があります。
外側まで金メッキされています。
ゴム蓋があるので、使わない方の端子にゴミが入るのを防ぐことができるます。取り外したゴム蓋は紛失しやすそうですが、どこに保管しておくか迷います。
裏面です。
NFCのマークが入っています。
ZX507ではワイヤレスヘッドホンも使えるようになっています。ワイヤレスヘッドホンを使うのはZX507がもったいない感じもしますが、NFCを使うとペアリングが簡単にできます。
下部です。
ストラップホールがあります。
マレーシア製ということです。シリアルナンバーも刻印されています。
左サイドです。
microSDはトレイタイプになりました。電源が入った状態でも出し入れできました。
USBは出っ張りのあるゴム蓋になっています。
バッテリー持ちがよくなく基本的に充電しながら使うことになりますので、ゴム蓋はあまり使わないかもしれませんね。
電源ON
電源をいれると言語の選択から始まりました。
使用許諾契約書、Wifiの設定などとすすんでいきます。
voice matchの設定では、「こう言ってください」と表示されましたが、画面が小さすぎるためかその下の文字が隠れてしまっています。
ググってみると、隠れている文は「OK. Google」ということでした。
このように普通のスマホとして使うには、画面や解像度が小さくて不具合がありますし、カメラや指紋認証、Suica機能、輝度調整機能、スピーカなどがなく使いにくいかもしれません。あくまで音楽再生用です。
ボイスコマンドで操作できるので、自動車内の音楽再生用にも良いかもしれません。
最後に高音質ガイドがでてきます。
搭載されているPOSCAPというSONYのコンデンサーのエージングには約200時間がかかると書かれています。
一日中鳴らしたとすると、8.3日です。
設定がおわるとAndroidのホーム画面になります。
充電とデータ転送は本体のUSB Type-C端子経由で行います。
付属ケーブルの反対側はType-Aです。
Macbook pro16インチにはType-C端子しかないので、さらにType-A <=> Type-C変換ケーブルをつなぎましたが、無事接続されました。
データ転送ソフトには、Androidスマホとのデータ転送で一般的に使われているAndroid File Transferアプリを使用します。
iTunesやapple musicに相当するような音楽管理ソフトはありません。windows用のものはあるようです。
Samsungのmicro SDカードを一緒に購入して、ZX507に差し込みましたが、自動でフォーマットされて使用できるようになっていました。
256GBのカードで、238.43GB使用可能でした。
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参考までに、USBケーブルで約80GB転送するのに2時間ほどかかりました。
付属のW.ミュージックアプリを起動すると、操作ガイドがでてきます。
データ転送中でも、再生することができます。これは使いやすい点です。
右上のデータベース更新ボタンを押すと、転送したところまでのデータを読み込むことができます。
使用感はiPhoneのMusicアプリと似たようなものです。
電池の設定画面を見たところ前回のフル充電は182日前となっていました。半年くらい前にはOSをインストールするところまで製造してあったということでしょうか。
再生画面です。
使用感
引き続きZX507の使用感を紹介していきます。
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ZX507は、Androidを採用した一発目の製品であるということもあり、従来のウォークマンと比べると特にソフトウェア面で使い勝手がいまいちな感じはします。
SONYは昔から時代を先取りした製品を出してきています。
手のひらサイズのノートパソコンとか、頑張ればポケットに入るノートパソコンとか、電子ペーパーを採用したブックリーダーなどです。
そのような製品はコンセプトを示すための製品で使い勝手が良くないのですが、この製品も(発売時期が遅いような気もしますが)そのような物に相当するのかと思います。
そのため、現在の使い勝手の悪さは仕方がなく、今後販売状況が好調ならば開発資本が投入されて、使い勝手が良くなっていくのではないかと期待されます。
そのため、みなさんもぜひ買ってください()。
音
私はあまりオーディオ機器を持っていないので、音に関するレビューはあてにならないと思いますので参考程度にしてください。
ZX507で推奨されている200時間のエージングが済んだ状態です。
200時間というのは結構長く、購入時のワクワク感がなくなったころに、機器の本領が発揮されるという感じです。エージングしてから出荷してくれたら良いのですが。
ゼンハイザーのHD580という開放型ヘッドホンと、Ultimate Ears Triple.fi 10 PROというイヤホンをアンバランス端子でつないで聴いてみました。
HD580はインピーダンスが大きい方でポータブル機には鳴らしにくいのですが、ちゃんとドライブできている感じです。
今回ZX507を購入した目的は、ベッドの上などで気楽に音楽を聴くためですので、その目的は果たせそうです。
エージング前の状態では、低音はもこもこした籠もった解像度のない音がしましたが、エージングが終わって低音は締まりました。
エージングが終わった状態で、モニター的なフラットなバランスといわれるHD580で音楽を聴くとやや高音と低音が強い傾向にあります。
そのためJ-POPは、イコライザーでボーカル領域を上げて聴いてちょうどよいです。
音には広がりがあります。音が遠くに抜けていくというよりもホールで聴いているような包まれている感じがします。
この価格帯のポータブルDAPとしては十分な音質になっていると思います。
音質を気にしていないiPod touchでも3万円くらいしますので、ヘッドホンアンプの部分が4万円ということなのでしょう。
320kbpsとCD音質の違いはわかりますので、スマホや第5世代iPodよりも解像度はよいです。
サイズや電源に制限のない据え置きのコンポと比べても仕方ないのですが、3万円程度の据え置きヘッドホンアンプ並の音質はあると思いました。
DSEE
スマホにヘッドホンアンプをつないで聴くのと、ウォークマンとの違いは、アップスケーリング技術のDSEEの有無にあると思います。
DSEEをONにして、MP3 320kbpsのクラシック音楽JanacekのString Quartets No.1を聴いたところ、iPhone7+付属DACと違いがはっきりわかるほど、バイオリンのねっとり感が表現されていて驚きました。
DSEE OFFでも良い音なのですが、ONにすると音の広がりが増します。
弦楽やクラシック音楽ではDSEE ONにしたほうがよくなりました。
一方で、DSEEと相性の悪い曲というのもありました。
DSEEをONにすると、音の広がりが増す感じがしますが、すべての音が広がってしまいます。
例えば、Yellow Magic OrchestraのRYDEENという電子音系の音楽でDSEEをONにすると、広がらなくてよい締りのある音が、広がってしまいボケた曲に聴こえました。
テクノのようなシャキシャキ感を楽しむ曲には向いていないのかもしれません。
ポップノイズ
気になった点ですが、ZX507では再生開始のときにポップノイズが鳴ります。
例えばW.ミュージックで、ハイレゾではないCD音質やMP3 320kbpsの曲を一時停止したり曲送りしたり、音質設定を変更するたびに、ポコッポコッと音がなります。
DIRECTモードのON/OFFには関係なく鳴ります。
これはアンプ回路のON/OFFで鳴っているポップノイズのようで、不可避のようです。
ハードウェアキーで曲を送ったときや、[HR]マークのでるハイレゾ曲を再生しているときにはこの音はなりません。ハードウェアキーで一時停止/再生をしたときには鳴ります。
手持ちの曲はハイレゾ曲のほうが少ないので気になります。
どうにかしてほしいのですが、S-Master HX搭載のウォークマンでは鳴るものだそうで、これまで改善されていないということは直らなそうですね。
USB-DAC機能がない
ZX300ではパソコンにつなぐとDACとして使うことができましたが、ZX507ではUSB-DAC機能はありません。
またBluetooth経由でPCから音楽を再生する「Bluetoothレシーバ」機能もありません。
まあZX507で直接ストリーミング再生できるので、パソコンから再生する必要はないという判断なのかもしれませんね。
電池が持たない
電池の持ちは仕様では最大20時間ということになっていますが、これはWifiなどを切って、ストレージ内のmp3ファイルを再生したときの値のようです。
ストリーミング再生では数時間で半分ほど減ります。
また電池を80%まで充電するのにも5時間かかります。
これは電源を切った状態で充電したときの話で、音楽を再生しながら充電する場合には、1時間で10%くらいしか増えていきませんでした。ストリーミング再生しながらの充電では減ることもあり、充電が追いついていません。
そのため基本的に家で充電しながら使うか、外部ポータブルバッテリーを接続して使うことになるかと思います。
しかし、PHA-2Aなどのポータブルヘッドホンアンプの電池の持ちもそれくらいですので、音質を重視する場合にはこれは仕方がないことだと思います。
なお電池の持ちが悪いのは、無負荷時のCPUクロックが抑えられていないからと、搭載バッテリー容量が小さいためのようです。
このベースクロックは下げることはできず、電池持ちを良くするには使っていないときに電源を切るしか方法がないようで、アップデートでも自動電源OFF機能がついただけでした。
通常のスマホで使われているSoCとは異なるものが使われているようで、その分開発の苦労もありそうです。
ダウンコンバート
標準の音楽再生アプリは「W. ミュージック」で、このアプリを使用してストレージ内の曲を再生するときのみ、ハイレゾのまま再生できます。
その他のアプリやストリーミングサービスで曲を再生するときには、48kHz/16bitにダウンコンバートされます。CD音質が44.1kHz/16bitですので、それとほぼ同じ音質ですね。
Sonyのハイレゾ音楽配信サービスmora qualitasにも先日対応しましたが、mora qualitasでさえダウンコンバートされてしまうそうです。ハイレゾ配信の意味がないですね。
このダウンコンバートがかからないようにソフトウェアのアップデートで対応できるよう「検討」していると報じられていますが、検討の結果ソフトウェアでは対応できないとわかったということにならないと良いのですが。
ただダウンコンバートされたあとで、アップスケーリングのDSEEをかけられるようなので、ストリーミング再生でも疑似ハイレゾにすることはできます。
Mac用の音楽管理ソフトがない
Windows用の音楽管理ソフトはあるのですが、Mac用には音楽管理ソフトがありません。
音楽データを本体内かSDカード内のMusicディレクトリに転送すると、W.ミュージックで再生できるようになります。
そのため、Apple MusicやiTunesなどでCDから曲データを作成し、曲データを手動で転送することになります。
新しい曲だけ転送したい場合には、転送オプションでファイルを上書きしない、として転送することになります。
プレイリストはm3u形式のものをMusicディレクトリに転送すると認識します。
Apple Musicのプレイリストエクスポート機能を使うとm3uファイルを作成することはできますが、エクスポートはプレイリスト1つ1つに対して行わければなりません。
また、このm3uファイルをそのまま転送しても、ZX507では認識できず、次のように0曲となります。
これは曲データのパスが絶対パスで書かれているためで、このパスをウォークマンのディレクトリ構造にあわせて書き換えなければなりません。
数個のプレイリストはテキストエディタでパスを置換して使用できるようにしましたが、これをスクリプトで一括処理をするようにしても書き換えは手間だと思います。
Macのライトユーザや気楽に使いたいという方は、プレイリスト機能は実質的に使えないと思ったほうがよいでしょう。
もちろん、Apple Musicの再生回数データも使えませんし、スマートプレイリストのような自動更新されるプレイリストも使えません。
従来のウォークマンで使用できたContent Transfer for MacというソフトウェアはZX507では使用できないようです。
コンセプト的製品なので仕方ないのですが、残念です。
本体ではプレイリストが作成できない
「W. ミュージック」ではプレイリストが作成できません。
これは従来のウォークマンよりも使い勝手が悪くなっていますが、これはAndroid用のアプリ開発が間に合わなかっただけだと思いますので、そのうち使い勝手は良くなるのではないかと思います。
ただプレイリストの代わりに、お気に入りやブックマーク機能はあり、プレイリストのように使うことはできます。
使用感まとめ
総じて、Androidを搭載した1発目のウォークマンということで、使い勝手がよくありません。
Androidを搭載する利点であるストリーミング再生についても、強制ダウンコンバートによりビットレート制限されるので、高音質配信サービスの利用には向いていません。
ただ、気楽にスマホよりも良い音質で音楽を聴こうという方には、良い機器に仕上がっていると思います。
ZX500やA100シリーズがいくら使いにくいといっても、従来のウォークマンではストリーミング再生ができませんので、スマホの音楽再生機能の代わりにはなりません。
アップスケーリングのDSEE機能も学習が進んだ新しいものが搭載されていて、音楽の種類を指定しなくてもよくなっています。
CD音質程度かそれ以下の音楽を、アップスケーリングもしつつ気楽に高音質で聴きたいという方にはおすすめのウォークマンです。
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まとめ
ストリーミング対応のウォークマンNW-ZX507のファーストインプレッションを紹介しました。
スマホの代わりに、最新のアップスケーリング技術のDSEEを利用しつつ、気楽に高音質で音楽を聴くことができるのが魅力的な製品です。
ストリーミング再生が普通になってきているため、サードパーティの音楽サービスを使えない従来のウォークマンはなくなっていき、ストリーミング対応ウォークマンが主流になっていくことでしょう。
1発目の商品ということもありソフトウェアの完成度はまだ低い感じですが、今後のアップデートで使いやすくなっていくかもしれません。
NW-ZX507はスマホのような使い勝手で高音質に音楽を聴きたいけれど、ポータブルヘッドホンアンプを使うのはかさばるし面倒という方におすすめです。
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以上、NW-ZX507のMac環境でのファーストインプレッション。でした。