2019年01月16日に、第160回(2018年下半期)の直木賞の受賞者1名が発表されました。
ここでは、受賞作品や候補作品を含む単行本を紹介しています。
目次
直木賞
直木賞(正式には直木三十五賞)は、短編・長編大衆文芸作品の無名・新進・中堅作家に与えられる文学賞です。
各新聞や雑誌、単行本に発表された短編・長編大衆作品が選考の対象となります。
文藝春秋社内の日本文学振興会によって年2回選考がなされます。
第160回(2018年下半期)受賞作品
第160回直木賞は、真藤順丈さんの「宝島」が授賞作に決まりました。
真藤順丈「宝島」
546ページ
講談社 (2018/6/21)
英雄を失った島に、新たな魂が立ち上がる。固い絆で結ばれた三人の幼馴染み、グスク、レイ、ヤマコ。生きるとは走ること、抗うこと、そして想い続けることだった。少年少女は警官になり、教師になり、テロリストになり―同じ夢に向かった。超弩級の才能が放つ、青春と革命の一大叙事詩!!
米軍施政下時代の沖縄を主軸に据えた作品です。戦闘機小学校墜落、米軍車両死亡交通事故無罪判決、コザ暴動など実際に起きた事柄も登場します。
真藤順丈(しんどう じゅんじょう)さんは、1977年生まれ。2008年に新人賞4賞をそれぞれ別の作品で受賞しています。
- 2008年 「地図男」で第3回ダ・ヴィンチ文学賞大賞受賞。
- 2008年 「庵堂三兄弟の聖職」で第15回日本ホラー小説大賞大賞受賞
- 2008年 「東京ヴァンパイア・ファイナンス」で第15回電撃小説大賞銀賞受賞
- 2008年 「RANK」で第3回ポプラ社小説大賞特別賞受賞
- 2018年 『宝島』で第9回山田風太郎賞受賞
- 真藤 順丈 (著)
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候補作
他の候補作は、4作品です。
垣根涼介 「信長の原理」
592ページ
KADOKAWA (2018/8/31)
吉法師は母の愛情に恵まれず、いつも独り外で遊んでいた。長じて信長となった彼は、破竹の勢いで織田家の勢力を広げてゆく。だが、信長には幼少期から不思議に思い、苛立っていることがあった―どんなに兵団を鍛え上げても、能力を落とす者が必ず出てくる。そんな中、蟻の行列を見かけた信長は、ある試みを行う。結果、恐れていたことが実証された。神仏などいるはずもないが、確かに“この世を支配する何事かの原理”は存在する。やがて案の定、家臣で働きが鈍る者、織田家を裏切る者までが続出し始める。天下統一を目前にして、信長は改めて気づいた。いま最も良い働きを見せる羽柴秀吉、明智光秀、丹羽長秀、柴田勝家、滝川一益。あの法則によれば、最後にはこの五人からも一人、おれを裏切る者が出るはずだ―。
織田信長を題材とした歴史小説です。
垣根涼介(かきね りょうすけ)さんは、1966年生まれ。筑波大学卒。
- 2000年 「午前三時のルースター」で第17回サントリーミステリー大賞読者賞受賞。
- 2004年 『ワイルド・ソウル』で第6回大藪春彦賞受賞、第25回吉川英治文学新人賞受賞、第57回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)受賞。
- 2005年 『君たちに明日はない』で第18回山本周五郎賞受賞。
- 2005年 長崎県県民表彰特別賞受賞。
- 2013年 『光秀の定理』で第4回山田風太郎賞候補。
- 2016年 『室町無頼』で第7回山田風太郎賞候補、第156回直木賞候補。
- 2018年 『信長の原理』で第9回山田風太郎賞候補
- 垣根 涼介 (著)
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今村翔吾「童(わらべ)の神」
368ページ
角川春樹事務所 (2018/9/28)
平安時代「童」と呼ばれる者たちがいた。彼らは鬼、土蜘蛛、滝夜叉、山姥……
などの恐ろしげな名で呼ばれ、京人から蔑まれていた。
一方、安倍晴明が空前絶後の凶事と断じた日食の最中に、
越後で生まれた桜暁丸は、父と故郷を奪った京人に復讐を誓っていた。
さまざまな出逢いを経て、桜暁丸は、童たちと共に朝廷軍に決死の戦いを挑むがーー。
皆が手をたずさえて生きられる世を熱望し、散っていった者たちへの、祈りの詩(うた)。
今村翔吾(いまむら しょうご)さんは、1984年生まれ。ダンスインストラクター、作曲家、埋蔵文化財調査員を経て、専業作家。
- 2016年 『蹴れ、彦五郎』第十九回伊豆文学賞の小説・随筆・紀行文部門最優秀賞 受賞
- 2016年 『狐の城』第二十三回九州さが大衆文学賞大賞・笹沢左保賞 受賞
- 2017年 『海を破る者』第九十六回オール讀物新人賞候補
- 2017年 『誰は彼時に咲く椿』第八回野性時代フロンティア文学賞候補
- 2018年 『童神』第十回角川春樹小説賞 受賞
- 2018年 『火喰鳥』第七回歴史時代作家クラブ賞・文庫書き下ろし新人賞受賞
- 今村翔吾 (著)
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深緑野分「ベルリンは晴れているか」
480ページ
筑摩書房 (2018/9/26)
1945年7月。ナチス・ドイツが戦争に敗れ米ソ英仏の4ヵ国統治下におかれたベルリン。ソ連と西側諸国が対立しつつある状況下で、ドイツ人少女アウグステの恩人にあたる男が、ソ連領域で米国製の歯磨き粉に含まれた毒により不審な死を遂げる。米国の兵員食堂で働くアウグステは疑いの目を向けられつつ、彼の甥に訃報を伝えるべく旅立つ。しかしなぜか陽気な泥棒を道連れにする羽目になり――ふたりはそれぞれの思惑を胸に、荒廃した街を歩きはじめる。
深緑野分(ふかみどり のわき)さんは、1983年生まれ。神奈川県立海老名高等学校卒。
- 2010年 短編「オーブランの少女」で東京創元社主催の第7回ミステリーズ!新人賞で佳作。
- 2016年 『戦場のコックたち』で第154回直木三十五賞候補、第18回大藪春彦賞候補、2016年本屋大賞候補。
- 2017年 第66回神奈川文化賞未来賞(奨励賞)。
- 2019年 『ベルリンは晴れているか』で第21回大藪春彦賞候補。
- 深緑 野分 (著)
- 筑摩書房
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森見登美彦「熱帯」
523ページ
文藝春秋 (2018/11/16)
汝にかかわりなきことを語るなかれ――。そんな謎めいた警句から始まる一冊の本『熱帯』。
この本に惹かれ、探し求める作家の森見登美彦氏はある日、奇妙な催し「沈黙読書会」でこの本の秘密を知る女性と出会う。そこで彼女が口にしたセリフ「この本を最後まで読んだ人間はいないんです」、この言葉の真意とは?
秘密を解き明かすべく集結した「学団」メンバーに神出鬼没の古本屋台「暴夜書房」、鍵を握る飴色のカードボックスと「部屋の中の部屋」……。
幻の本をめぐる冒険はいつしか妄想の大海原を駆けめぐり、謎の源流へ!我ながら呆れるような怪作である――森見登美彦
森見登美彦(もりみ とみひこ)さんは、1979年生まれ。京都大学農学部卒業、同大学院修士課程修了。
- 2003年 『太陽の塔』で第15回日本ファンタジーノベル大賞受賞
- 2007年 『夜は短し歩けよ乙女』で第20回山本周五郎賞受賞
- 2010年 『ペンギン・ハイウェイ』で第31回日本SF大賞受賞
- 2014年 『聖なる怠け者の冒険』で第2回京都本大賞受賞
- 2017年 『夜行』で第7回広島本大賞受賞
まとめ
いかがでしたでしょうか。
第160回(2018年下半期)直木賞は、真藤順丈さんの「宝島」が授賞作でした。他の候補作品4作も紹介いたしました。
他のページも参考にしてみてくださいね。
- [1998年~] 歴代芥川賞 受賞作50作品一覧。単行本画像と作家経歴へのリンク。
- [2019/1] 芥川賞の授賞・候補 6作品が収録された本と作者の経歴を紹介!
- 芥川賞と直木賞の4つの違いとは?純文学の芥川賞、大衆小説の直木賞。
以上、[2019/1] 直木賞 受賞・候補 5作品が収録された本と作者の経歴を紹介!でした。