ポルトガルの文学は日本ではあまり紹介されていませんが、面白い小説はいくつもあります。
1998年のノーベル文学賞はポルトガルのジョゼ・サラマーゴに贈られ、ポルトガル文学が再度注目されています。
ここではポルトガル生まれの5作家によるポルトガル文学11作品を紹介しています。
目次
エッサ・デ・ケイロス『アマーロ神父の罪』
エッサ・デ・ケイロス (1845 – 1900)は、19世紀のポルトガルの小説家、弁護士、ジャーナリスト、外交官です。70年の世代と呼ばれる実証主義を唱える作家の一人に数えられます。
『アマーロ神父の罪』はエッサ・デ・ケイロスの代表作で、カトリック教会の青年神父と信徒の女性との愛を描いています。
ただの恋物語ではなく、この二人と取り巻く人々の心の内奥が細やかに描写された小説です。
メキシコで映画化もされています。
教会の戒律を破って愛し合う新進の神父と教区の若き女性との激しい愛、そして憎しみ…。2人を取り巻く人々の生活と共に描く、いつの時代も変わらない人間の物語。ポルトガル文学史にのこる衝撃の作品、初の邦訳。
- エッサ・デ・ケイロース (著)
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エッサ・デ・ケイロス『縛り首の丘』
同じくエッサ・デ・ケイロスによる『縛り首の丘』もおすすめです。
罠とも知らず愛する女のもとへ馬を駆る若き騎士ドン・ルイ。途中、刑場の丘のかたわらを通りすぎるが、その時、縛り首の死体が彼に話しかける。「俺を連れていけ、何かの役に立つはずだ」。ユーモアと辛辣な皮肉を交えた魔術的リアリズムの世界。傑作『大官(マンダリン)を殺せ』を併せて収録。
- エッサ デ・ケイロース (著), E〓@7AB7@ca de Queiroz (原名), 弥永 史郎 (翻訳)
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フェルナンド・ペソア『ポルトガルの海』
フェルナンド・ペソア(1888 – 1935)は19~20世紀のポルトガル出身の詩人・作家です。
過去に100エスクード紙幣に肖像が印刷されていたほど、ポルトガルでは国民的作家として有名です。死後、評価されるようになりました。
『ポルトガルの海―フェルナンド・ペソア詩選』ではペソアの86篇の詩が収められています。
タブッキの「インド夜想曲」、ヴェンダースの映画「リスボン物語」で紹介されたのをはじめ、ドゥルーズ、パスなど多くの知識人の高い評価を集めるポルトガルを代表する詩人の詩選集。
- フェルナンド ペソア (著), フェルナンド ペソア (著), Fernando Pessoa (原名), 池上 ミネ夫 (翻訳)
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ペソアの著作として、他には次の3冊が翻訳されています。
- フェルナンド・ペソア (著), 澤田 直 (翻訳)
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- フェルナンド ペソア (著), Fernando Pessoa (原名), 高橋 都彦 (翻訳)
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- フェルナンド ペソア (著), Fernando Pessoa (原名), 近藤 紀子 (翻訳)
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ジョゼ・サラマーゴ『修道院回想録―バルタザルとブリムンダ』
ジョゼ・サラマーゴ(1922 – 2010)は、ポルトガルの作家・劇作家・ジャーナリストです。1998年にポルトガル語世界で初めてノーベル文学賞を受賞しました。
その代表作が、『修道院回想録』です。
ポルトガルがスペインと鎬を削っていた18世紀。時の国王ジョアン5世は、フランシスコ修道会士と、王妃に世継誕生の祈祷が成就すればマフラに修道院を創建するという取引をする。一方、王の信任篤いブラジル生まれのローレンソ神は空飛ぶ機械『大鳥』を、戦争で左手を失った退役兵士バルタザルと不思議な透視術をもつブリムンダ夫婦の助けを得て試作するが、異端の嫌疑をかけられる。音楽家スカルラッティと王女マリーアなども絡んだ一大歴史ロマン。98年度ノーベル文学賞受賞作家サラマーゴの代表作、本邦初訳。
- ジョゼー サラマーゴ (著), Jos´e Saramago (原名), 谷口 伊兵衛 (翻訳), ジョバンニ ピアッザ (翻訳)
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ジョゼ・サラマーゴの他の著名な作品に、『白の闇』と『複製された男』があり、これらは映画化されています。
- ジョゼ・サラマーゴ (著), 雨沢 泰 (翻訳)
- 日本放送出版協会
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- ジョゼ サラマーゴ (著), Jos´e Saramago (原名), 阿部 孝次 (翻訳)
- 彩流社
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ジョゼ・ルイス ペイショット『ガルヴェイアスの犬』
ジョゼ・ルイス・ペイショットは1974年ポルトガル生まれで、現代ポルトガル文学を代表する作家の一人です。
2000年に発表した長篇作『無のまなざし』でサラマーゴ賞を受賞しています。(サラマーゴは一つ上で紹介した、ポルトガルのノーベル文学賞作家です。無のまなざしは日本語翻訳本が見当たりません。)
この『ガルヴェイアスの犬』では、ポルトガル語圏のブッカー賞と称されるブラジルのオセアノス賞を受賞しています。
新潮社から2018年に発売された新刊です。
巨大な物体が落ちてきて以来、村はすっかり変わってしまった――。ポルトガルの傑作長篇。ある日、ポルトガルの小さな村に、巨大な物体が落ちてきた。異様な匂いを放つその物体のことを、人々はやがて忘れてしまったが、犬たちだけは覚えていた――。村人たちの無数の物語が織り成す、にぎやかで風変わりな黙示録。デビュー長篇でサラマーゴ賞を受賞し「恐るべき新人」と絶賛された作家の代表作。オセアノス賞受賞。
- ジョゼ・ルイス・ペイショット (著), 木下 眞穂 (翻訳)
- 新潮社
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ディアス・デ メーロ『アソーレスの黒い火山島』
ディアス・デ メーロは、1925年生まれのアソーレス諸島出身の作家です。
アソーレスはリスボンから約1400kmの、飛行機で2時間ほどの距離にある9つの島々からなる諸島です。
海と捕鯨をテーマにしたアソーレス文学を確立した作家のひとりとして知られ、エンリッケ王子勲章を受章しています。
この『アソーレスの黒い火山島』もアソーレスを舞台とした小説です。
海に取り囲まれた貧しい島から脱出して、アメリカの捕鯨船に乗り込んだ少年。世界の海を航行したアメリカ帰りの「成功者」として帰島するも、彼を待っていたのは、「島」の厳しい現実だった…。
- ディアス・デ メーロ (著), Dias de Melo (原名), 浜岡 究 (翻訳)
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
100年ほど前に書かれた『アマーロ神父の罪』は今でも通用する哲学的内容を含んでいますし、現代ポルトガル文学も新鮮な感覚で読めて面白いと思います。
ぜひ気になった作品をいくつか読んでみてくださいね。
以上、おすすめのポルトガル文学11選!古典から、現代文学まで。でした。