おすすめのスペイン古典文学10選!入手性のよい岩波文庫で読むスペイン文学。

ここでは、スペイン語で書かれている古典文学作品のうち、特にスペインの作家の本を紹介します。

翻訳されているスペイン文学は少なく、現在入手可能な書籍に限るとそれほど多くありませんが、岩波の海外文学シリーズ(赤)でいくつか読むことができます。

著名な作家には、セルバンテス、ケベード、カルデロン、ガルシア・ロルカがいます。

ミゲル・デ・セルバンテス『ドン・キホーテ』

ドン・キホーテ 全6冊 (岩波文庫)

セルバンテス(1547-1616)の代表作。スペイン文学でおそらく一番有名な小説ではないでしょうか。

騎士道物語を読み過ぎて現実と物語の区別がつかなくなった初老の紳士が、「ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ」と名乗って古ぼけた甲冑に身を固め、やせ馬ロシナンテにまたがって冒険の旅に出る物語。

1605年に前編が、1615年に後編が出版されています。

作者不詳『ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯』

ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯 (岩波文庫)

16世紀のスペインで出版された作者不明の中編小説。

最初期のピカレスク小説として有名な作品です。ピカレスク小説とは、下層階級出身で社会寄生的存在を主人公とし、一人称の自伝体で語られる写実主義的傾向を持った小説の形式のこと。

主人公の少年ラーサロのが親元を離れ、悪知恵に長けた盲人やいんちき免罪符売りを始めとした様々な主人に渡り仕える苦労話です。

16世紀当時のスペイン社会や、飢餓や貧困に苦しむ下層民の生活が風刺的に表現されています。

作者不詳『エル・シードの歌』

エル・シードの歌 (岩波文庫)

「わがシッドの歌」とも呼ばれる、中世スペインの叙事詩です。実在した中世スペインの騎士であるエル・シッドの活躍がテーマとなっています。

謀略によって追放の刑を受けたエル・シードは,妻と娘たちを修道院に残し,騎馬の一団を従えて出国する.だが国王への忠誠は終生変わることなく,歴戦の末,モーロ王国の大都を攻略し,最高の栄誉を獲得した.レコンキスタ期の史実をもとに伝説的英雄を描いたスペイン文学最古の武勲詩は,当時の人々の姿を直截的に活写する.

エスピノーサ『スペイン民話集』

スペイン民話集 (岩波文庫)

読みやすいスペインの短編民話集。エスピノーサが選んだ82篇が収録されています。

芥川龍之介の『蜘蛛の糸』の原話とされる「聖女カタリーナ」に注目です。

スペインの民話は、説話ずきのイスラムの伝承と、新教国がとうに捨て去ってしまった中世の奇跡にまつわる伝承とをよく保存している。デカメロン風の神父と農婦の姦通話、芥川の「蜘蛛の糸」の原話「聖女カタリーナ」等、特徴ある民話82篇を精選。エスピノーサ(1880‐1958)はスペイン系アメリカの言語・口承文芸の研究者。

ティルソ・デ・モリーナ『セビーリャの色事師と石の招客』

セビーリャの色事師と石の招客 他一篇 (岩波文庫)

プレイボーイの代名詞として使われる「ドン・ファン」という言葉は、17世紀のスペインにおける伝説上の放蕩人物の名前ですが、その文学的源泉とされる作品です。

ティルソ・デ・モリーナによる1630年の戯曲。

17世紀のスペインに生まれ、漁色放蕩の典型的人物として世界文学に籍を得た「ドン・フアン」は、モリエール、モーツァルト、バイロンなど、多くの芸術家によって変奏されてきた。表題作はその原典で、スペイン黄金世紀の劇作家による、ドン・フアンをモチーフにした世界最初の作品。「緑色のズボンをはいたドン・ヒル」を併収。

カルデロン『人の世は夢/サラメアの村長』

人の世は夢/サラメアの村長 (岩波文庫 赤 725-1)

17世紀スペイン・バロック演劇(スペイン黄金世紀演劇)の代表的な劇作家、詩人カルデロンの代表作「人の世は夢」。『人生は夢』とも呼ばれます。

現世の移ろいやすさと信仰の重要性をテーマとした哲学劇です。

詩的な言葉の交錯の中に,夢と現実,予言と人知,愛と復讐のテーマを描く「人の世は夢」.農民,兵士,娘らがアンダルシアの村をゆきかいしゃべりあう「サラメアの村長」.カルデロン(1600‐1681)のふたつの戯曲はすべてに対照的でありながら,神への信仰,国王への忠誠,個人の尊厳という17世紀スペイン人の感情をともに伝えるスペイン古典文学の代表作.

モラティン『娘たちの空返事』

娘たちの空返事 他一篇 (岩波文庫)

「娘たちの空返事」はモラティンの1806年ごろの作品です。

2018年に岩波文庫から出版された新刊。併録の『娘たちの「はい」』が新訳となっています。

スペイン新古典主義演劇を代表する劇作家モラティン(1760―1828)の代表作二篇。「娘たちの空返事」は、親の言いつけに従順にしたがい老人との結婚を承諾するも、愛する若者との未来を捨てきれない娘の葛藤を描く。『娘たちの「はい」』の新訳。併収する「新作喜劇」は、当時の腐敗した演劇界を皮肉るモラティンによる一種の演劇論。

エスプロンセーダ『サラマンカの学生』

サラマンカの学生 他六篇 (岩波文庫)

19世紀スペインのロマン主義詩人エスプロンセーダによる物語詩集。

この「サラマンカの学生」もドン・フアン伝説を扱った作品の一つです。

冷酷非情で,神の掟にも従わないドン・フェリックスは,スペイン文学史上,もっとも残忍非道,大胆不敵なドン・フアンである.陰鬱で不気味な霊界を舞台に,ドン・フェリックス=ドン・フアンの凄絶な死後の世界を描く長篇物語詩「サラマンカの学生」ほか,スペイン・ロマン主義を代表する詩人エスプロンセーダ(1808―42)の絶唱六篇を収録.

ベッケル『ベッケル詩集』

ベッケル詩集

ベッケルはスペインの国民的詩人で、抒情詩に優れるとされます。

スペインの言葉で「セビリアが生んだ世界に誇る二人の息子」というものがあります。この「二人の息子」のうち一人は画家のベラスケスで、もう一人が詩人ベッケルです。

短編の詩で読みやすくなっています。

現代のスペイン、ラテン・アメリカの文学は、詩は、ベッケルという詩人から、この一冊から始まった…。『ドン・キホーテ』と並ぶスペイン文学の名作、本邦初訳、平易な「解説」付き。

ベッケル『スペイン伝説集』

スペイン伝説集

上のベッケル詩集が気に入った方には、同じくベッケルの「スペイン伝説集」もおすすめです。

なお、岩波文庫でも「緑の瞳/月影」というベッケルの作品がありますが、品切れで入手困難になっています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

ドン・キホーテは長編ですから、読もうとするには気合がいるかも知れませんが、これを機会に読んでみてはいかがでしょうか。

他に紹介しているものは戯曲や詩が多いですが、これらは読み慣れていないと読みづらいですから、はじめは民話集などの短編の小説のほうが読みやすくて良いかもしれません。

以上、おすすめのスペイン古典文学10選でした!

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