1 kg痩せるには、何kcalの摂取を控えればよいのか、何kcal分運動すればよいのかについて紹介します。
「ダイエットを決意したのはいいけれど、どれだけ食事の量を減らしたら良いのか、どれだけ運動をすればよいのかわからない」という方や、
「食事を減らしているのに、思ったより体重が減らない!」と悩んでいる方は参考にしてみてくださいね。
数値だけ知りたいという方は、記事末尾の「計算ツール」へ飛んでくださいね。
1日におにぎり1個分を食事から減らすと、2ヶ月でおよそ1キロ痩せることができます。
目次
体重を減らす方法
体重は、摂取するエネルギーと、消費するエネルギーの長期的なバランスで決まることは、よく知られていると思います。
摂取エネルギーを減らして、消費エネルギーを増やせば、体重を減らすことができます。
この摂取エネルギーとは簡単に言えば、「食事の量」のことです。
一方の消費エネルギーは、つぎの3つに分けられます。
- 基礎代謝量
- 脳や消化器 (40%)
- 筋肉 (30%)
- 身体活動量 (20%)
- 食事誘発性熱産生 (10%)
つまり、痩せるには、主に次の3つの方法があります。
- 食事の量を減らす
- 運動をして、身体活動量を増やす
- 筋肉を鍛えて、基礎代謝を増やす
体重は食事を減らした分だけ減るわけではない
上の3つの方法のうち、運動や筋トレの時間を新しく取るのは難しいので、食事を減らすことからダイエットに取り組む方が多いと思います。
1ヶ月で1 kgやせるには、どれだけ食事の量を減らせばよいか計算するとき、単純には次のように考えられます。
脂肪 1 gあたり7 kcalのエネルギーがあるとします。
すると、1 kgやせるには、
7 kcal/g × 1000 g = 7000 kcal
で、7000 kcal分だけ摂取エネルギーを減らせば良く、
4ヶ月(= 120日)で 1 kgやせるには、
7000 kcal / 120日 = 58 kcal/日
で、一日 58 kcal減らせば良い。
つまり、4ヶ月間コンビニおにぎり1/4個分くらい(58 kcal)の食事を減らせば、1 kgやせられる、
と考えるかもしれませんが、実はそうではありません。
もしこの計算が正しければ、おにぎり1/4個分の食事を減らすのを1年続ければ3 kg痩せ、20年続ければ60 kg痩せて、空を飛べるようになるはずですが、そんな人は見かけませんよね。
空を飛べたら面白いのですけど。
つまり、体重は食事を減らした分だけ減るわけではないのです。
体重が減ると基礎代謝も減る
なぜなら、体重が変化するに伴い、基礎代謝量も変化してしまうからです。
体重が減るにつれて基礎代謝量(消費エネルギー量)も減ってしまうので、基礎代謝量が減る分も見越して、食事の量を減らす必要があります。
ダイエットのときに食事を減らしているのに、思ったより体重が減らないと思う理由はこれかもしれませんね。
基礎代謝の変化も考慮した計算
研究によると、基礎代謝量の変化も考慮に入れると、長期的なエネルギー摂取の変化と体重の変化の間には、次の式が成り立つことがわかっています。
エネルギー摂取量の変化割合 × 0.712 = 体重の変化割合
Swinburn BA, Sacks G, Lo SK, et al. Estimating the changes in energy flux that characterize the rise in obesity prevalence. Am J Clin Nutr 2009 ; 89 : 1723─8.
これは長期的、例えば数年後に、体重を今より 7%減らしたい場合には、食事から摂取するエネルギーを今よりも10%減らして生活する必要があることを示しています。
例えば、体重が50 kgで一日2000 kcalを摂取している方(18~29歳女性の参照体重と、生活強度ふつうの推定エネルギー必要量)が、体重を1 kg減らしたい場合は、
x / 2000 kcal/日 × 0.7 = 1 kg / 50 kg
x = 57 kcal/日
で、一日あたり57 kcal分( =コンビニおにぎり1/4個)を食事から減らせばよいことがわかります。
つまり、基礎代謝量の変化を考慮に入れると、コンビニおにぎり1/4個分の食事を減らした場合には、4ヶ月で 1 kgやせるわけではなく、数年後に1 kgやせることができるわけです。
時間と体重の減少量の関係
摂取エネルギーを一定量減らした場合に、体重が時間的にどのように変化していくのかを示した概念図が、厚労省の食事摂取基準に掲載されています。
実線が、体重の時間変化です。
ダイエットを開始してすぐは、体重が減少しやすく、しかし日がたつにつれ、体重が減少しにくくなっていく事がわかります。
4ヶ月後あたりで、減量が目標の半分程度に達し、1年後にようやく減量が目標の9割程度に達することになります。
4ヶ月で痩せたいなら2倍減らす
ダイエットをしようとしている場合は、数年後ではなく、4ヶ月後には減量目標を達成したいと考えていると思います。
4ヶ月で目標を達成するためには、見かけの目標減量量を2倍にする、あるいは摂取エネルギーを二倍減らす必要があります。
例えば先程の例では、コンビニおにぎりを 1/4個分減らすと数年後に1 kgやせるということでしたが、2倍の1/2個分減らすようにすれば、4ヶ月後に 1 kgやせられることになります。
x / 2000 kcal/日 × 0.7 = 1 kg × 2 / 50 kg
x = 114 kcal/日
2ヶ月で減らしたい場合は、4倍弱分(コンビニおにぎり1個分)を食事から減らします。
食事の量を戻せば、体重も元に戻る
ただ注意が必要なのは、減量目標を達成したからと言って食事の量をもとに戻すと、体重ももとに戻ってしまうということです。
リバウンドというのは、食事の量を以前の量に戻すだけでもしてしまうのです。
4ヶ月後以降も減った体重を維持するためには、先程の例で言うとコンビニおにぎり1/4個分を、その先もずっと食事から減らす必要があります。
ダイエットに重要なのは、継続することです。
継続できるダイエット計画を
57 kcalとはいえ、毎日ずっと食事を減らし続けるのは大変なことですよね。
そのため「ダイエットをするには食事を減らすだけでなく、運動をして筋力をつけよう」とよく言われるのだと思います。
でも、運動を続けたり、筋トレで筋力を維持するのも同様に大変だと私は思います。
楽にやせられる方法を探したくなりますが、様々なダイエット方法やダイエットビジネスが広まっている現状の裏を返すと、ダイエットをしたい人は多いものの、万人に効くような「銀の弾丸はない」というのが真実なのでしょう。
(最近流行っている生酵素についても科学的な根拠はなく、飲んだら下痢をするので痩せるという笑い話になっていたり、飲んで痩せるならそれは違法な薬物のことではという笑い話になっていたりするとかしないとか。)
とにかく現状の食生活や運動生活に戻ると体重ももとに戻るわけですから、ダイエットを計画する際には、この先もずっと継続できるような計画をすることが大切です。
計算ツール
ここまでの計算は、次の計算ツールで計算することができます。1 ヶ月で 2 kgやせるのは結構大変、6 kgやせるのは食事だけでは不可能なことがわかります。
現在と目標
現在の摂取エネルギー: kcal
(目安: 18~69歳の女性は 1900~2000 kcal。男性は、2400~2650 kcal。日常よく運動する方は+300 kcal、あまり運動しない方は-300 kcal分を加減してください。推定エネルギー必要量の表は、こちらのページにあります。)
現在の体重: kg
目標体重: kg ( kgの減量)
体重減少期
1ヶ月でやせる場合には、1ヶ月間 kcal/日 減らします。
2ヶ月でやせる場合には、2ヶ月間 kcal/日 減らします。
3ヶ月でやせる場合には、3ヶ月間 kcal/日 減らします。
4ヶ月でやせる場合には、4ヶ月間 kcal/日 減らします。
維持期
目標体重に達した後、体重を維持するには、その先 kcal/日 減らすのを維持します。
食品とカロリー
コンビニおにぎり1個 : 200 kcal
ごはん普通盛り(140 g) : 240 kcal
食パン(6枚切) 1枚 : 170 kcal
食パン(8枚切) 1枚 : 120 kcal
食事の量をもとに戻すと、体重ももとに戻ります。
まとめ
体重が50 kgで一日2000 kcalを摂取している方(18~29歳女性の参照体重と、生活強度ふつうの推定エネルギー必要量)が、食事を減らして体重を減らしたい場合には次のようにします。
減少期
- 4ヶ月で1 kg減らしたい場合には、毎日114 kcal(コンビニおにぎり半分)を食事から減らす。
- 4ヶ月でn kg減らしたい場合には、毎日114 × n kcalを食事から減らす。
- mヶ月でn kg減らしたい場合、毎日57 / (1 – 2^( – m / 4)) kcalを食事から減らす。
維持期
- 1 kgの減量を維持したい場合には、毎日 57 kcal(コンビニおにぎり1/4個分)を食事から減らす。
- n kgの減量を維持したい場合には、毎日 57 × n kcalを食事から減らす。
以上、ダイエットで体重を1キロ減らすには、食事は何キロカロリー減らせばよいの?計算ツール付き。でした。