2019年2月19日にルンバiシリーズとしてルンバi7とi7+が発表されました。
ルンバi7は2月22日に、i7+は3月8日に発売します。米国ではすでに販売が始まっていましたが、日本にもいよいよ上陸します。
ルンバi7+は、2019年のルンバ最上位モデルになります。旧最上位モデルであるルンバ980の後継モデルということになりますが、何が変わったのでしょうか。
詳しく紹介していきます。
ルンバについて比較したい方は次の記事も参考にしてみてくださいね。
[2019年] 図で比較するルンバ24機種の特徴と比較。ひと目で分かる本体性能と付属品の違い。
[2019年] ルンバ最新5機種i7+、i7、960、e5、643一覧比較!アイロボットの中の人に聞いてきました!
ルンバe5についてはこちらで紹介しています。あわせて参考にしてみてくださいね。
ルンバe5の、前機種からの5つの改善点とは?e5は性能が良いのに安い、お買い得モデル。
ルンバi7+とi7の1つの違い
まずはルンバi7+とi7の違いですが、これは本体の性能は同じで、付属するホームベースが違うだけです。
「クリーンべース(自動ゴミ収集機)」が付属するのがi7+で、これまでどおりのホームベースが付属するのがi7です。
上の写真はルンバi7+ですが、縦に長いベースが付属していることがわかりますが、これがクリーンべースです。
詳しくは下で紹介しています。
980からの主な変更点は9つ
旧最上位モデルであるルンバ980からのi7, i7+の変更点を箇条書きすると次のようになります。
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- ナビゲーション機能がiAdapt2.0 から iAdapt3.0・Imprintスマートマッピングに。
- クリーンべース(自動ゴミ収集機)が付属(i7+のみ)。
- 洗えるダスト容器を採用。
- 新型のデュアルアクションブラシ、パワーリフト吸引、新型のエッジクリーニングブラシにより、吸引効率が向上。
- 吸引モーターは弱くなり、カーペットブーストは無くなった。ゴミ除去力は悪くなった一方で、動作音は静かに。
- 新型のダストカットフィルターを採用。
- Wifiが5 GHzにも対応。
- 最大稼働時間は120分から75分に減少。
- 付属デュアルバーチャルウォール、エッジクリーニングブラシ、ダストカットフィルター数が各2個から各1個に減少。
ナビゲーション能力が向上し、i7+では(半)自動ゴミ捨て機が付属する点が980よりも魅力的ですが、一方でゴミ除去力・稼働時間・付属品数など980よりも悪くなっている部分もあります。
どちらかというと980ではなく960の後継機種という感じもしますね。
表にすると次のようになります。
ここからは、それぞれの違いについて詳しくみていきましょう。
ナビゲーション
ナビゲーション能力は、ルンバの頭脳の部分です。
ルンバはこのナビゲーション能力によって、どのルートで清掃すれば効率良く掃除できるか考えて移動します。
ルンバ980, 960には、カメラとセンサーによるiAdapt2.0ビジュアルローカリゼーション機能が搭載されていますが、ルンバi7+, i7ではバージョンが上がったiAdapt 3.0が搭載されています。
iAdapt 2.0
ルンバ980, 960のiAdapt 2.0では、ルンバが部屋の中での自身の位置を把握し、清掃ごとに部屋の地図を作成して清掃をします。
清掃が終わったら部屋の地図は破棄しています。これは、掃除をするたびに椅子などの位置が異なる可能性があり、次回の清掃に使うのが難しいためです。
iAdapt 3.0
ルンバi7+, i7のiAdapt 3.0では、ルンバが部屋の地図を学習・記憶し、次回の清掃に活用するようになりました。
この部屋の状況を学習・記憶する機能を、Imprintスマートマッピングと呼んでいます。
旧iAdapt 2.0では、ルンバが進む先にどういう部屋があってどこに家具や障害物があるのか知らずに毎回清掃していたわけですが、iAdapt 3.0では部屋の配置を知った上で清掃します。
そのため、清掃した場所と清掃していない場所を正確に把握したり、最短のルートを選んで掃除をしたりすることができます。
また最大で10個の間取り図を作成することができ、清掃する部屋をスマホアプリから選択・指示することもできるようになっています。
以前あったお部屋ナビ対応機種では部屋ごとに清掃させることができましたが、ルンバi7, i7+では部屋ごとに清掃する・しないを指定できるということです。
これにより、自宅にいる際に自分のいる部屋は清掃するのを避けるように指示したり、床におもちゃが散らかっている子供部屋は定期的な清掃ルートから外したりすることができ、便利です。
iAdapt 3.0でも、ルンバの周囲の把握にはiAdapt 2.0と同じくカメラとセンサーを使っていますが、情報処理能力が上がることによって性能向上が可能になりました。
具体的な処理能力はルンバ980では293 MIPSでしたが、i7+, i7では9880 MIPSと、約30倍になっています。
なお、今後もファームウェアのダウンロードにより、ルンバ本体やアプリの性能が上がる可能性もあるようです。
ルンバ980でも、あとからアプリで地図が表示できるようになりましたね。
クリーンベース
クリーンベース(自動ゴミ収集機)は、i7+の大きなアピールポイントです。
充電ベースを兼ねるクリーンベースにルンバが戻ると、ルンバ本体のダスト容器内のゴミを吸い取り、クリーンベース内の紙パックに貯めていきます。
クリーンベースにはダスト容器30杯分のゴミが入りますので、これにより掃除だけでなくゴミ捨てまでほぼ自動になります。
ペットを飼っていなくて2~3部屋の私の家の場合は、ダスト容器のゴミ捨ては数日から1週間に1回します。
しかしこのクリーンベースがあれば、ごみ捨てはこれまでの30回分が1回で済むのですから、数ヶ月から半年に1回で済みます。
長毛の犬を2匹飼っているという方は、ダスト容器のゴミ捨ては毎日しなくてはならないそうですが、クリーンベースがあれば1ヶ月に1回のゴミ捨てで済みます。
さらに紙パック式なので、紙パックをポイッとゴミ箱に捨て、新しい紙パックをセットするだけで作業完了です。
これまでのように、ゴミ箱の上でダスト容器をゴンゴンと叩く必要もなく、そのたびに静電気で細かいチリがゴミ箱の周りに散ることもなく、とても画期的です。
なお、紙パックはアイロボットストア価格で、3枚で2,138円です。
ペットの毛が多く出る家では、紙パックのコストが無視できないかもしれませんが、ゴミ捨ての手間が省けるのは嬉しいですね。
なお、i7やi7+の本体ダスト容器のサイズは980よりも小さくなっていますので、980よりもダスト容器のごみ捨て頻度が増えることを考えると、余計にクリーンベースがあることが利点になると思います。
洗えるダスト容器
ルンバe5で採用された、洗えるダスト容器がi7+, i7でも採用されています。
しばらくルンバを使っていると、ダスト容器の内部や容器入り口に細かいホコリが大量にこびり付いて白くなりますが、ダスト容器が水洗いができると、水でざっと流せば綺麗になるためお手入れが簡単です。
ダスト容器が水洗いできないモデルの場合は、ウェットティッシュなどで拭きとることになります。
ただi7+では、クリーンベースを使うと、ダスト容器からゴミを捨てることがなくなると思いますので、洗える必要はないかもしれませんね。
吸引効率の向上
ルンバi7, i7+では、e5でも採用されている新型のデュアルアクションブラシ、新型のエッジクリーニングブラシが採用されています。
デュアルアクションブラシは吸引ローラーのことで、980もi7+, i7もゴム製ですが、i7+, i7の方がゴム足が少し長くなっており、床への密着性が上がっています。
そのため、ゴミをより吸い取りやすくなっています。
またエアフローが改善され、「パワーリフト吸引」と呼ばれていますが、吸引モーターの吸引力が吸引ローラーまで効率よく伝わるようになっています。
ゴミ除去力は低下
公称の吸引力は、i7+, i7と980のどちらも600シリーズと比べて「10倍」となっています。
しかしi7+, i7では、980で採用されていた強力なG3モーターは採用されておらず、それにより980のカーペットブースト機能もなくなりました。
実際に先行発売されている米国での口コミを見てみると、i7+, i7のゴミ除去能力は、980よりも低いという意見も一部あるようです。
短毛の犬の毛であったり、短い毛のカーペットでは問題なく綺麗になるようですが、長毛の犬を飼っている方の中には、i7+, i7ではカーペットの毛がとれないという方もいます。
980とi7+を持っている方が、カーペットに散ったペットの毛を掃除させてみた動画があります。
動画では、i7+で3回掃除をしてもペットの毛が残っており、その後に980で1回掃除をするとペットの毛が綺麗にとれることが示されています。
さらに、この動画を投稿した方が電話で問い合わせたところ、アイロボットのマネージャーはi7のモーターは980よりも弱いということを認めたということです。(一応、仕様上では同じ強さということになっています。)
これ以外の980からi7+に乗り換えてみた人のレビューでも、「i7+ではカーペット上のペットの毛が吸えなくなっていたので、980に戻る」とか、「ペットの毛は端に寄るだけで、吸ってくれない」とかいうものが海外の掲示板でいくつか見つかりますので、吸えないのは一部の不良品の問題というわけではなく、これが本来の性能のようです。
掃除機で一番に求められるゴミ除去能力が悪くなっているとするととても残念ですが、一方で、動作音はとても静かになったようです。
特に980のカーペットブースト時には普通のキャニスター型掃除機のような大きな音がして、玄関の外からでも掃除している音が聞こえて防犯になるレベルだったのですが、静かになったことは嬉しいですね。
i7やi7+では排気が出ないように変更されたので、動作音は静かになった一方で、ゴミを吸引できなくなったということのようです。
ただ吸引力が弱いというのは、ルンバの中で一番強力なG3モーターを搭載していた980と比べての話で、現行のルンバe5などと比べるともちろんi7の方が吸引力は強いです。
そのため、長毛のペットを飼っているという場合以外は、動作音が静かになったという利点の方が大きいのではないかと思います。
新型のダストカットフィルター
ルンバe5で採用されていた新型のダストカットフィルターがi7, i7+でも採用になっています。
旧型と新型のどちらの方が性能がよいかについては、言及されていないのでわかりません。
新型のキャッチコピーは、「ホコリや花粉、ダニなどのアレルゲンも99%補足する。」となっており、旧型は「0.3 umの微細なゴミでも90%以上をカット。」となっています。
コナヒョウヒダニの体長は200 ~ 500 um、スギ花粉の直径は20 um, 黄砂は 4 um, PM2.5は 2.5 um以下です。
推測にすぎませんが、ホコリ・花粉・ダニの直径は、0.3マイクロメートルサイズよりもずっと大きいですから、960, 980のダストカットフィルターでも、新型同様に99%を補足できる可能性はあるのではないかと思います。
Wi-Fiが5 GHzにも対応
ルンバ980は、2.4GHzのWi-Fiネットワーク(802.11b/g/n)に対応していましたが、i7, i7+では、5 GHz帯のWi-Fiネットワーク(802.11a/b/g/n/ac)にも対応しました。
5 GHz帯は、電子レンジの影響が少なく都市部でも混信が少ないですので、5 GHz帯を使っている家が増えてきていると思いますので、対応するようになったのは嬉しいポイントですね。
最大稼働時間は120分から75分に減少
ルンバi7, i7+では、新型のリチウムイオンバッテリーが採用になりました。
ルンバ980のリチウムイオンバッテリーは、アイロボットストア価格で12,000円でしたが、i7, i7+のリチウムイオンバッテリーは5,000円安い7,000円です。
寿命は6年程度といわれており、買い換える機会はあまりありませんが、安くなったのは嬉しいことです。
一方で、ルンバの最大稼働時間は980の120分から、75分へと減少しています。
部屋が相当広くない限りは、ナビゲーション機能が向上したこともあり清掃は75分以内に終わるでしょうし、さらに自動再開機能がありますので、バッテリー切れになっても充電し終わってから清掃を再開してもらえば済むと思います。
そのため最大稼働時間が短くなったことは、あまり気にならないかもしれませんね。
付属品数が各2個から1個に減少
980では、付属デュアルバーチャルウォール、交換エッジクリーニングブラシ、交換ダストカットフィルター数は各2個でしたが、i7, i7+ではこれらは各1個に減っています。
実質的にこの付属品価格分だけ本体価格が高くなっているということですが、オプションで購入できるものですから必要ならば購入すればよいわけではあります。
デュアルバーチャルウォールは7,000円くらいです。
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違いのまとめ
図にまとめると次のようになります。
おすすめか?
i7やi7+がおすすめの機種かどうか、主観的に紹介します。
i7
i7の大きな利点は、ナビゲーション機能が900シリーズよりも強化されたことです。清掃する部屋を選択できるのは魅力的です。
しかし、i7の発表に合わせて960が2万円値下げになり、107,870円であるi7よりも3万円も安くなっています。
i7の公称の吸引力は960の2倍(600シリーズの10倍)となっていますが、ゴミ除去能力についての口コミは980よりも良くないということですから、ゴミ除去能力で見るとi7と960はあまり変わらないかもしれません。
(なお「ゴミ除去能力」は、2017年発売の機種までは公開されていて、960は600シリーズの1.5倍、980は600シリーズの2倍となっていました。)
また960のナビゲーション機能iAdapt2.0もそれほど悪いわけではなく、清掃する部屋の選択機能を使わないならば違いは気にならないでしょう。
ナビゲーション機能や、洗えるダスト容器、WiFiの5 GHz帯対応に3万円の価値があるかを考えて、i7にするか960にするかを決めると良いと思います。
例えば、家にいる時間が多いので自分がいる部屋以外を清掃させたいとか、ダスト容器が洗えた方が良いとか、家のWiFiは5 GHzしか設定していないとか、発売年が新しい方が良いという場合には、i7がおすすめです。
一方でそういう事情がなければ、3万円安い960のほうがおすすめです。
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ルンバを使用する上で手間になるのは、清掃の前に床の巻き込みやすい小物を片付けることと、ダスト容器のゴミ捨てです。
そのため欲を言えば、今回のようなナビゲーション機能の向上よりも、センサーを強化させるなどして、小物や敷物・ケーブルがあっても、巻き込まないように避けてくれる機能をつけて欲しかったところです。
(今でも巻き込みを検知するとバックする機能は一応ありますが、実際は巻き込んで立ち往生することが多く、役立ちません。)
そうすれば、ルンバは本当に何もしなくても全自動で動いてくれることになり、「掃除のことを忘れさせてくれる掃除機」となるでしょう。
ルンバが作られている米国では、室内でも靴で生活する人が多く、床に小物を置かないから、そういう要望がないのかもしれませんね。
i7+
i7+は、部屋が広い方や、カーペットが少ない方、ペットを飼っている方(長毛の犬以外)におすすめです。
980よりもカーペットに落ちた毛を吸い取りにくくなっている点は気がかりですが、クリーンベース(自動ゴミ収集機)によってダスト容器のゴミ捨ての手間が大幅に減りますので、ペットを飼っているなどでゴミが多く出る家の場合はクリーンベースがあった方がよいと思います。
i7+は980と比べると割高な感じはしますが、ルンバを使用する上での2大手間である「床の小物の片付け」と「ゴミ捨て」のうちの1つが解消されるので、それだけの価値は十分にあると思います。
長毛の犬を飼っている方は、清掃する部屋の選択はできませんが、カーペットに落ちた毛もよく取れるとわかっているルンバ980の方がおすすめです。
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まとめ
i7+, i7で980よりも改良されたところは次の通りです。
- ナビゲーション機能が、iAdapt3.0・Imprintスマートマッピングに。
- クリーンべース(自動ゴミ収集機)が付属 (i7+のみ)。
- 洗えるダスト容器を採用。
- 新型のデュアルアクションブラシ、パワーリフト吸引、新型のエッジクリーニングブラシにより、吸引効率が向上。
- 動作音が静かに。
- Wifiが5 GHzにも対応。
一方で980よりも悪くなったと思われる点は次の通りです。
- 吸引モーターは弱くなり、カーペットブーストは無くなった。ゴミ除去力が悪くなり、カーペットに付いた毛を吸いにくくなっている。
- 最大稼働時間は120分から75分に減少。
- 付属デュアルバーチャルウォール、エッジクリーニングブラシ、ダストカットフィルター数が各2個から各1個に減少。
特に、ルンバを使用する上での2大手間である「床の小物の片付け」と「ゴミ捨て」のうちの1つ、ゴミ捨てを解消してくれるクリーンベースが付属するi7+はおすすめです。
ルンバについて比較したい方は次の記事も参考にしてみてくださいね。
[2019年] 図で比較するルンバ24機種の特徴と比較。ひと目で分かる本体性能と付属品の違い。
[2019年] ルンバ最新5機種i7+、i7、960、e5、643一覧比較!アイロボットの中の人に聞いてきました!
ルンバe5についてはこちらで紹介しています。あわせて参考にしてみてくださいね。
ルンバe5の、前機種からの5つの改善点とは?e5は性能が良いのに安い、お買い得モデル。
以上、ルンバi7, i7+が新発売。980からの9つの変更点とは?モーターは弱いがナビは向上。でした。